コマツ、米大手エンジンメーカーとゼロエミッション技術開発で協業

(米国、日本)

シカゴ発

2022年07月05日

建設機械大手コマツは6月29日、米国エンジンメーカー大手カミンズ(本社:インディアナ州)と鉱山向けダンプトラックのゼロエミッション動力源の開発で協力する基本合意書を締結した。両社は、これまでさまざまな鉱山機械や建設機械のディーゼルエンジン事業で協業関係を築いており、今後は、鉱山向け大型運搬車用の水素燃料電池ソリューションなど、ゼロエミッション動力源の技術開発に注力していく予定だ。

今回の合意は、2021年8月にコマツが温室効果ガスの削減に向けて公表した、いかなる動力源でも稼働可能なコンセプト「パワーアグノスティックトラック」(注)の開発を強化するものとなる。カミンズは脱炭素化のための重要な要素となるバッテリー、燃料電池システム、水素生成システムなどの動力源に関する幅広い技術や経験、コマツは鉱山機械の開発技術および鉱山オペレーションの最適化ソリューションについての知見を有し、双方が共有して、鉱山向けダンプトラックの動力源の技術を共同開発していく。

カミンズのバイスプレジデント兼新動力部門担当プレジデントであるエイミー・デービス氏は「コマツの鉱山機械設計に関する深い専門知識と、当社の水素燃料電池を含む最新の動力技術の組み合わせは、鉱山機械の脱炭素化を加速させるだろう」と述べ、「鉱業は、サステナビリティ技術の採用をリードする大きな可能性を秘めている」と続けた。コマツとの協業は、カミンズが掲げる「デスティネーション・ゼロ戦略」という脱炭素の取り組みの1つだ。同社は、自社製品の温室効果ガス(GHG)と大気環境への影響を低減し、2050年までにゼロエミッションを達成することを目標としている。また、同社は近年、脱炭素の取り組みを加速しており、2021年には水素を燃料としたエンジンの試作を発表したほか、2022年1月には、いすゞ自動車との間で北米向け中型バッテリー式電気トラックのプロトタイプの製作で協業することに合意(2022年1月26日記事参照)した。さらに、2022年5月には米ダイムラートラック・ノースアメリカと提携し、燃料電池を搭載したトラックの開発を発表している。

(注)コマツは、ディーゼルエレクトリック、トロリー(有線)、バッテリー、燃料電池など、どのような動力源にも対応した超大型ダンプトラックの開発を進めている。

(星野香織)

(米国、日本)

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