米シンクタンク、IPEFの成功に向けた提言書を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月04日

米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は6月27日、バイデン政権が5月に立ち上げた「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の成功に向けた提言書「IPEF-脱炭素分野を成功に導くための提言-外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

提言書は、IPEF交渉分野の(1)公平で強靭(きょうじん)性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー、(4)税、反腐敗の4本柱のうち、(3)に焦点を当てた内容だが、その提言にはIPEF全体にかかる示唆も含まれている。CSISは、米国とインド太平洋の現職および元職の政府高官や、民間企業、市民団体の識者に対するインタビューを踏まえて、次の提言をまとめている。

  1. 脱炭素関連のさまざまな目標を組み合わせる:パリ協定と国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の目標をベンチマークとして、脱炭素と排出削減を優先させる。
  2. 資金調達に焦点を当てる:政府の資金拠出が最大限の効果を発揮するよう、民間部門の専門知識や資本を呼び込む金融メカニズムを設計する。
  3. 基準を広める:グリーン調達の透明性にかかる基準や、製品のライフサイクルの排出量測定方法を調和させる。
  4. 通商手段を最大限活用する:環境財の関税自由化に向けた多国間交渉を追求する。または、IPEFの交渉課題に参加国がWTO環境物品協定(EGA)を支持することを確認する声明を含めることもできる。

提言書は、バイデン政権がこれらの点に留意することで、そのほかの脱炭素に係る取り組みの重複を最小限に抑え、域内全体で耐久性のある政策形成につながる肯定的なアジェンダを構築できると結論づけている。そのほかの柱である(1)貿易、(2)サプライチェーン、(4)税、反腐敗でも、既に2国間や多国間でさまざまな取り組みが進展しており、それらを土台に、IPEF参加国間でどのようなルールや協力の枠組みを構築していくかは重要な視点だ。また、現時点で、関税削減を伴う市場アクセスは交渉に含まれておらず、参加国政府や域内の利害関係者にとって目に見えるメリットを追求する上で、提言の(2)や(4)は有益と考えられる。

CSISは、アジェンダの形成に加え、IPEFの運営を管理する統治機構の在り方について、G20を1つの参考とした新たな行政機構〔仮称:IPEF調整協議会(IPEF-CC)〕を創設することが望ましいとしている。また、参加国がIPEF-CCに個別のプロジェクトファイナンスを管理する下部機構を作り、説明責任能力と専門性も備えるべきと主張している。

(磯部真一)

(米国)

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