トルコ企業、欧米企業のロシア事業買収に関心

(トルコ、ロシア、欧州、米国)

イスタンブール発

2022年07月04日

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で大手外資系企業が撤退傾向にある中、両国に対して中立的な立場を維持しているトルコの企業がロシアから撤退を検討している欧米企業の事業の買収に関心を示す事例が見られる。

トルコのコチ財閥傘下の大手家電メーカーのアルチェリキは6月28日、ワールプールEMEA(本社:イタリア)との間で、家電メーカーのインデシット・インターナショナルとワールプール・ロシアがロシア、中央アジア、コーカサス、モンゴルで手がけていた事業を約2億2,000万ユーロで買収することに合意したと発表した。

ほかにも、スウェーデンの家具販売大手イケアが2013年にトルコのフィバ・ホールディング傘下のクレジットヨーロッパ銀行(オランダの登録銀行)との合弁で設立したイカノ銀行のロシア事業のシェア(50%)を、フィバに売却することで交渉していると報じられている。

また、トルコの靴小売りチェーンのFLOがドイツのスポーツ用品大手アディダスの子会社リーボックと、同社がロシアに保有する100以上の店舗を約15億ルーブル(約34億5,000万円、1ルーブル=約2.3円)で買収する交渉をしているとされる。

このような動きがある中で、トルコの現地報道によると、多くのトルコの小売り業者が所属する統一ブランド協会(BMD)は5月19~22日の現地訪問などを通じて、ロシア進出に向けた情報を収集したとしている。BMDのシナン・オンジェル会長は「ロシアでは、欧米系のブランドのほとんどが店舗を閉鎖しており、フランスのブランドは既に活動していないが、イタリアのブランドはまだビジネスを続けている。イラン、中国、インドなどのブランドも、ロシアから撤退する欧米ブランドのシェアの獲得を狙っている。われわれも遅れることなく、多くのメンバー企業とロシアを訪問したい」と述べている。

ロシアの「イズベスチヤ」紙は5月27日、トルコのエイディエル(adL)、ムド(Mudo)、エルティビ(LTB)、ツイスト(Twist)、イペクヨル(Ipekyol)など、衣類やインテリア、家具などの複数のブランドがロシアで店舗をオープンする準備を進めていると報道している。

(エライ・バシュ)

(トルコ、ロシア、欧州、米国)

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