砂嵐対策などの環境協力に向け、イランが周辺国と閣僚会合を開催

(中東、イラン、アラブ首長国連邦、イラク、シリア、クウェート)

中東アフリカ課

2022年07月14日

イラン環境省は712日、砂嵐・砂塵(さじん)嵐などの地域の環境問題解決に向けた協力促進を目的として、「より良い未来のための環境協力」と題する閣僚会合をテヘランで開催した。アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、オマーン、イラク、シリア、トルコに加え、コーカサスや中央アジアの計10カ国から環境相らが出席した。

中東では例年、春から夏にかけ砂嵐が広い範囲で発生するが、2022年はより大規模な砂嵐が例年以上の頻度で発生し、特にイラクやイラン、クウェートなどでは、呼吸障害などの健康被害に加えて、休校や休業、空港の封鎖やフライトのキャンセルなどの影響が出ていると、複数の現地メディアが報じている。

イランの首都テヘランでは、5月中旬と7月上旬に砂嵐の影響で学校が休校となり、政府機関も閉鎖となった。そのため、アリー・ハーメネイー最高指導者が砂嵐対策のために近隣諸国との外交関係を強化するよう命じ、それを受けてイブラーヒーム・ライーシー大統領が外相と環境相に対し、周辺諸国との協議を開催するよう指示していた。

会合においてスピーチを行ったライーシー大統領は「砂嵐を含む環境問題への取り組みは、国境を越えた問題で、国際的・地域的な決定を必要とする。環境問題を解決するメカニズムは、地域の協力と結束にかかっている」と述べ、地域的な組織や基金の設立、そこでの決定をフォローアップするための事務局の設置などを提案した(7月12日付イラン大統領府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また同日、イランとUAEは環境問題に関する覚書(MoU)に署名した。特に砂嵐対策における協力を拡大するとし、共同事業の実施、合同セミナーの開催、専門家の派遣などが挙げられている〔7月11日付イスラーム共和国通信(IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます7月12日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。イランは同様のMoUを、61日にシリアと(6月1日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)75日にはクウェートとも(7月6日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)締結している。

(稲山円)

(中東、イラン、アラブ首長国連邦、イラク、シリア、クウェート)

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