日本語学校のサマーキャンプ、参加生徒数が過去最多

(ルーマニア)

ブカレスト発

2022年07月13日

ルーマニアで最大手の日本語教室、サクラ日本語学校外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの第2期サマーキャンプが711日、ブカレスト市内の農村博物園内で、新型コロナ禍を経て3年ぶりに開講された。

日本語初心者の小中高校生が対象で5日間、午前9時から午後6時まで、年齢別にルーマニア人講師による3クラスと、講師経験15年の日本人による1クラスで構成される。費用は前者で2,200レイ(約61,600円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約28円)、後者で3,150レイ。66,000人のフォロワーを有するフェイスブックやTikTokなどで6週間前から募集したところ、予想を超えた人数の申込があったため、3期制を予定していたが第4期を追加。受講者数は計120人余りと、2015年の開講以来の最多を記録した。

同社のジディウク・リビウ・クリスティアン社長は、ジェトロに対し「ルーマニアの学校の夏季休暇は615日から95日までと長いこともあり、子供らが家で引きこもらないよう、サマーキャンプなど非日常体験を求めるニーズが高い。パンデミックで失われた対人コミュニケーション能力を取り戻すことも狙い、緑豊かな環境でパソコンやスマートフォンを持ち込み禁止にしたことが保護者の関心をひいた。子供にとっては、日本のアニメや漫画など共通の趣味を持つ子供たちが集まるため、初対面でも抵抗が少ないことが訴求点だ」と話した。午前中は語学、午後は折り紙、書道、風呂敷、七夕、アニメなど日本文化に親しめるワークショップが中心だ。

同校の通常期の日本語教室の受講生は約250人、190分の授業料はルーマニア人講師によるグループレッスンが80レイ、日本人講師による個人レッスンが130レイ。これとは別に漫画コースがあり、約250人が描き方などを学んでいる。20217月には、2週間にわたり国内15都市を訪問して無料日本語キャラバンを実施し、首都圏以外での需要掘り起こしにも取り組んだ。

ブカレストで年1回開催される日本語能力試験(JLPT)は、2021年に約500人が受験した(2022年6月9日記事参照)。日本語学習の動機は、将来、日本企業に勤めたいからではなく、いつか行ってみたい憧れの国だからだという。大人は着付け、茶道、書道、華道、空手、合気道などに、子供は圧倒的にアニメや漫画に関心を寄せる。

ルーマニアでは、英語もよく通じる。ラテン系の気質から会話を好み、語学を苦行ではなく余暇の過ごし方の1つとして捉えるため、まったく異なる言語でも抵抗なく取り組めるという。

写真 ベテラン日本人講師による授業(ジェトロ撮影)

ベテラン日本人講師による授業(ジェトロ撮影)

写真 日本のアニメに親しむワークショップ(ジェトロ撮影)

日本のアニメに親しむワークショップ(ジェトロ撮影)

(西澤成世)

(ルーマニア)

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