ブックフェスト来場者、日本のマンガや観光に期待

(ルーマニア、日本)

ブカレスト発

2022年06月09日

ルーマニア首都ブカレストの最大級の展示会場ロメクスポで6月1日から5日まで、ブックフェストが開催された。年1回開催、10万人以上が来場するこのフェアは、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって2年連続で中止されたため、3年ぶり15回目の開催となった。今回は日本がゲスト国として参加、会場内の日本パビリオンや特設ステージでは、日本文学や漫画、伝統芸術、観光など合わせて70ものショーケースやワークショップが開催され、多くの来場者でにぎわった。

植田浩・駐ルーマニア日本大使は日本パビリオンの開館式で「2021年に外交関係樹立100周年を迎えた両国がこのイベントで新たな100年のスタートを記念できることは素晴らしい誇りだ」とあいさつした。

日本パビリオンは、日本政府観光局(JNTO)が在外公館連携事業として日本大使館と共催した。JNTOフランクフルト事務所の居石彰(すえいし・あきら)次長はジェトロに対し「日本パビリオンの多くの来場者が日本の(新型コロナウイルスに伴う)水際対策が緩和され、外国人観光客の受け入れを再開するニュースを知っていた。レセプションデスクには、どのような条件で入国できるのかなどの問いあわせが多く寄せられ、日本観光に対する期待の高さをあらためて認識した」と述べた。日本の外務省は6月10日から「水際対策強化に係る新たな措置(28)」に基づく「青」区分の国・地域から入国する外国人に限定して団体観光客の受け入れを再開する(人数上限あり)。ルーマニアは「青」区分となっており、ワクチン接種の有無にかかわらず、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機を求められない。

居石氏はまた「ルーマニア語版ではなく日本語版か英語版で構わないので、漫画を買いたいが買えない、子供が日本に行きたいと切望しているといった相談が多かった。日本の出版業界がポテンシャルを有する東欧市場を開拓することにより、日本への興味・関心が増し、将来的な観光需要の拡大につながる可能性はある」と話した。

期間中の日本のステージイベントでは、ブカレストの出版社ネミラ(NEMIRA)が日本の漫画専門出版社の漫画2タイトルのルーマニア語翻訳版を出版すると発表した。日本の漫画のルーマニア語版出版は国内で初めてとなる。ブカレスト最大手の書店の一部支店では英訳された日本の漫画も販売しているが、需要をカバーできていない。ルーマニアではコミック・ブック・コンベンション(コミコン)が開催されるなど漫画ファンは多く、ブカレストでは趣味で日本語教室に通う人も多い。ブカレストにある日本語教室の講師によると、同地で年1回だけ開催される日本語能力試験(JLPT)は2021年に約500人が受験した。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

写真 日本パビリオンで開催された茶道ワークショップ(ジェトロ撮影)

日本パビリオンで開催された茶道ワークショップ(ジェトロ撮影)

(西澤成世)

(ルーマニア、日本)

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