輸出企業の台湾域内生産比率は48.4%、サプライチェーンの再編が進む

(台湾)

中国北アジア課

2022年07月04日

台湾の経済部統計処は6月30日、2021年の輸出受注と海外生産の実態調査統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同調査は、輸出受注を受けた製造業の生産地や、商品の販売フロー、生産ラインの移管状況などを把握するために2011年から実施されているもので、2021年は2,843社のうち、2,816社(有効回答率99.1%)から回答を得た。

輸出受注に占める台湾域内生産の割合は、前年から2.4ポイント増加の48.4%で、2013年以来の高水準となった。経済部は、世界的な経済の回復による需要の増加、原材料価格の高騰、主に域内で生産される伝統産業の受注増、サーバやインターネット通信関連製品の域内生産比率上昇が背景にあると分析した。中国および香港における生産比率は、米中間の貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大の影響によるサプライチェーン再編、台湾回帰や中国以外での生産拠点拡大などにより、3.1ポイント減少の42.4%となった。ASEANは、情報通信関連商品の生産比重が増加したことから、0.3ポイント増の3.2%だった。

輸出受注を受けて、海外で生産した商品の販売フローをみると、「第三国での販売」が69.5%で最大だった。業種別にみると、情報通信機器(84.7%)、機械(81.9%)、卑金属(78.1%)でとりわけ比率が高かった。「生産地での販売」は1.4ポイント増の25.4%で、2018年以降上昇が続いている。「台湾への回帰販売」は5.1%だった。

なお、中国および香港で生産をしたのち、米国向けに輸出する商品を有すると回答した割合は1.7ポイント減の24.0%、現地(中国および香港)で販売すると回答した割合は27.3%だった。経済部は、米中間の貿易や科学技術分野における摩擦を背景に、米国向けの商品の生産拠点が、台湾または中国・香港以外に移管されていると指摘した。

このほか、経済部は同調査から明らかになった点として、海外生産を行う要因として最も多いのは生産コストの低さ(50.6%)だったことや、輸出を行う事業者にとって海外市場における主要競争相手は、台湾の同業者が51.2%で最大、次いで中国系企業(22.8%)だったことなどを紹介している。

(柏瀬あすか)

(台湾)

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