アマゾン、グジャラート州に農産物調達拠点を設置、ECで販売

(インド)

アーメダバード発

2022年07月13日

米国アマゾン・ドット・コム傘下のアマゾン・リテール・インディア(Amazon Retail India)社は621日、グジャラート(GJ)州北部のプランティジに農産物集荷センターを立ち上げ、農家から直接調達を行い、同社ネットワークを通して流通させると発表した。(「ビジネス・スタンダード」紙621日、「アグロ・ニュース・ネットワーク」紙622日)。

同社は、GJ州の先進的な農家にアマゾンのECオンラインマーケットの「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」のネットワークを活用し、デジタル経済に参加させることがミッションだと語った。同州の農家の力を向上させ、グアバ、ザクロ、キャベツ、カリフラワー、トマト、ジャガイモ、オクラなど同州の高品質な野菜や果物を消費者に提供することが可能になるとともに、迅速な支払い、公正で透明な価格設定、農業技術指導を保証することにもなるとしている。

GJ州に今回設置した農産物集荷センターは、デリー首都圏やムンバイ、プネといった近隣都市の消費需要にも対応するものだ。同センターでは、適切に温度管理したコールドチェーンのインフラを整備しており、地元の新鮮な農産物は集荷後、最新技術を使った品質検査を経る。その後、加工センターに送られ、選別と等級付け、産地タグ付けを行い、サイズごとにパッケージするという。

農業大国インドでは、価格に対する価値を追求する傾向は根強く、食品の自国生産強化の志向も強い。一方で、オーガニックや減農薬・無農薬栽培、トレーサビリティー対応などを付加価値としたサービス競争も激しくなり、消費者の健康志向が高まるなど、消費者も多様化している(2022年3月16地域・分析レポート参照)。

契約農家から農作物を直接調達後、最新設備で品質管理を行い、独自のネットワークを通じて消費者にダイレクトに販売するビジネスモデルが農作物調達チャンネルの多様化に貢献しつつ、高い付加価値を求める消費者層の市場を開拓していく可能性もあり、大手ECプラットフォームの今後の動向が注目される。

(古川毅彦)

(インド)

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