米シェブロン、米南西部パーミアン盆地での水圧破砕で再生水利用拡大へ

(米国)

ヒューストン発

2022年07月20日

米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)は715日、パーミアン盆地での石油・ガス生産中に発生する随伴水(注1)をリサイクルし、再生水としての利用を増やすと発表した。同盆地は、テキサス州西部とニューメキシコ州南東部の一部にまたがる広大な地域で、国内有数のシェールオイルとシェールガスの生産地として知られている。

シェブロンは、パーミアン盆地のほぼ全域で行われる水圧破砕(注2)において、2023年末までに使用する水の80%を再生水にするとしている。パーミアン盆地の石油・ガス田では、石油やガスの産出量の5倍もの随伴水が発生することがあるという。水圧破砕に再利用できない随伴水は、可能な限り他の事業者が破砕作業に使用できるように輸送され、輸送も不可能な随伴水は安全な手段で地下数千フィートまで再注入するとしている。

シェブロンは、世界中で水管理を強化し続けており、干ばつに見舞われやすい地域では随伴水の再利用を実施するなど、淡水の保護に努めている。シェブロンのパーミアン盆地での水需要の99%は既に汽水(塩分を含む水、約55%)または再生水(約45%)で満たされ、帯水層の地下水の利用率は1%未満とされている。パーミアン盆地の再生水の利用を増やすことで、この地域での随伴水処分のための再注入を減らすことが可能になる。

シェブロンの水処理エンジニアであるカレン・ジョーンズ氏は「随伴水のリサイクルは、環境スチュワードシップ(注3)の観点から、責任ある行為であるだけでなく、経済的利益ももたらす」と述べている。

シェブロンは616日、パーミアン盆地での2022年の生産量見通しについて、前年比15%以上の増加となる日量70万~75万バレル(石油換算相当)に上方修正した(2022年6月17日記事参照)。ジョー・バイデン米国大統領は614日に石油大手7社に対して石油・ガス増産を促す書簡を送付していたが、シェブロンは621日、パーミアン盆地で生産が増えているなどとして書簡に対する反論を展開した(2022年6月23日記事参照)。

(注1)原油などの生産時にともにくみ上げられる地下水。

(注2)地下の岩体に、超高圧の水を注入して亀裂を生じさせること。石油・ガスを含む頁岩(シェール)層に酸などの化学物質が混入した水を注入して、シェールオイルやシェールガスを採取する。

(注3)投資家らが、顧客、受益者にとって長期的な価値を創出すべく、資本の責任ある分配、管理、監督を行い、経済、環境、社会にとって持続可能な利益を生むこと。

(沖本憲司)

(米国)

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