学生の減少が拡大、労働人口の減少にも懸念

(香港)

香港発

2022年07月19日

香港政府教育局は7月、20212022年度(20219月~20228月)の小・中学生(日本の高校を含む)学生数統計を発表した。20219月の学生数は672,660人で、202010月時点の698,036人から3.6%(25,376人)減少した(添付資料表参照)。単純比較できるものではないが、香港の人口(約750万人)と同程度の人口規模である愛知県の小学校~高校の学生数は80910人(20215月時点)で、前年度に比べ6,504人減少している。

内訳をみると、小学生が3.0%(1749人)減少、中学生が4.3%(14,627人)減少した。前年度は小学生が1.6%減、中学生が2.8%減で、ともに減少幅は拡大している。

小学生、中学生とも学年が上がるにつれて減少率が高まる傾向にある。最も減少率が高かったのは、中学6年(日本の高校3年に相当)の7.0%(3,465人)減で、次いで中学5年(同高校2年)の6.9%(3,632人)減、小学6年の5.5%(3,296人)減と続く。

小・中学校の所在地別では、比較的裕福な層や名門校が集まるとされる九龍城(4,551人減)や湾仔(1,807人減)エリアの減少が目立つ。

専門家はさらなる学生減、労働人口減を懸念

710日付明報によると、学生の流出について、香港資助小学校長会(Hong Kong Aided Primary School Heads Association)の張勇邦名誉主席は「多くの学生が学期途中に移住しており、まだ減少のピークではない。世界各地で新型コロナウイルス感染状況が落ち着きをみせるのに合わせ、夏休みに移住のピークを迎えると思われる」と、さらなる学生数の減少に懸念を示した。また、香港大学社会工作・社会行政学科の葉兆輝教授は「学生の流出は、多くが家族とともに香港を離れていることを意味する。労働人口が減り、従属人口指数が持続的に悪化すると予想される」とコメントした。

(渕田裕介)

(香港)

ビジネス短信 0aca41e8ff63d5db