パートタイム労働者の社会保険料、事業主負担分を引き下げ

(チェコ)

プラハ発

2022年07月29日

チェコで7月22日、社会保険法改正法が官報に掲載外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。これにより2023年2月1日付で、55歳以上、小さな子供を持つなどの条件に該当するパートタイム労働者に係る、事業主負担の社会保険料率が引き下げられる。

同法は、労働・社会福祉省が、エネルギー価格の高騰に伴う政府の世帯生計支援策の1つとして起案したもので、企業によるパートタイム労働者の雇用促進を目的にしている。同省のマリアン・ユレチカ相は「フルタイム勤務が困難な人が自身の労働により収入を得て、経済的に独立し、同時に(社会保険)制度に貢献できるよう支援する。また雇用者に対しても、さまざまな生活上の理由からフルタイム勤務ができない労働者と、より多くのパートタイム雇用契約を締結するようモチベーションを与えたい」と説明している。

同法は、1週間当たりの労働時間が8~30時間(ただし1カ月当たりの労働時間が138時間以下)で、以下のいずれかの条件を満たす者を雇用する場合、当該被用者に係る事業主負担の社会保険料率を5ポイント引き下げ、現行の24.8%から19.8%とすることを定めている。ただし、月額賃金が平均賃金(注)の1.5倍を上回る場合、および時給が平均給与の1.15%を上回る場合は対象外となる。

  1. 年齢が55歳以上の者
  2. 10歳以下の子供を扶養する親
  3. 障害のある10歳以下の子供を扶養する近親者など
  4. 学生
  5. 過去1年間に求職者向け研修登録をした者
  6. 身体障害者

なお同法は、上記1~6に加えて、年齢が21歳未満の者を雇用する場合も同様に、事業主負担の社会保険料率を5ポイント引き下げることを定めている。ただしこの場合は、パートタイム、フルタイムの勤務形態を問わず、1週間当たりの労働時間が8~30時間である必要はない。1カ月当たりの労働時間が138時間以下であること、および前述の賃金制限を満たしていることが条件となる。これは、この年齢層の労働市場への参入を支援するための措置だ(労働・社会福祉省の6月1日付資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

チェコは、パートタイム労働者の割合が比較的低い。これは旧共産主義国に共通する傾向で、EU統計局(ユーロスタット)によると、2021年の全雇用者に対するパートタイム労働者割合はEU平均が17.2%であるのに対し、チェコは5.5%とEU27カ国中21番目の低水準にとどまっている。

(注)主として諸手当、年金額引き上げ額設定を目的として、当該暦年の2年前のデータを基に算出されたもので、政令により定められている。2022年の平均賃金は3万8,911コルナ(22万1,793円、1コルナ=約5.7円)。

(中川圭子)

(チェコ)

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