政府、「一緒に進む幸福の経済」でセーフティーネットを強化

(韓国)

ソウル発

2022年06月27日

韓国企画財政部が6月16日に公表した「新政権の経済政策方向」(2022年6月21日記事参照)の4つの柱のうち、「一緒に進む幸福の経済」の主な施策を次のとおり紹介する。

  1. 社会的セーフティーネットの強化

成長の恩恵が社会の隅々に届くよう、支援を必要とする脆弱層に一定水準の所得を保障する。

(1)国民基礎生活保障の強化や、緊急福祉支援金、災害医療費の支援対象の拡充を通じ、社会的セーフティーネットを拡充する。

(2)基礎年金の段階的引き上げ(注)、ひとり親世帯への育児費の支援対象を拡充する。

 2. 勤労インセンティブ・機会の拡大


(1)勤続年数控除の拡大などを通じ、退職者の所得税負担を軽減する。


(2)国民就業支援制度を拡充し、求職促進手当、就職成功手当、早期就職成功手当などを改編する。


(3)デジタル分野の基礎能力強化プログラムの対象を中高年まで拡大するなど、教育訓練プログラムを拡充する。


(4)求職者のキャリア開発ロードマップの策定を通じ、訓練や職業あっせんとの有機的な連携を支援する。


(5)「公正採用法」の立法化を進めるなど、若年層の雇用・住居・教育・資産形成への機会提供を拡大する。

    1. 福祉システムの高度化

    国民が求める福祉サービスを提供するシステムを構築する。

    (1)スマート社会サービスモデルの開発・実証を推進する。

    (2)生涯学習・能力開発にかかる事業間コミュニケーション体制の整備や、統合情報サービスの提供を進める。

    (3)看護・介護統合サービスの提供を拡大する。

    1. 地域の均衡ある発展

    地方の競争力向上などを通じて「どこに住んでいても均等な機会が得られる地方時代」を実現する。

    (1)地域主導の超広域メガシティーの構築を支援する。

    (2)企業の地方移転の際の税制優遇拡大を進める。

    最後の「4.地域の均衡ある発展」は歴代政権でも大きな課題だった。少子化が進む韓国は人口増が全く望めない一方で、総人口の5割がソウル首都圏に集中、首都圏以外では人口減少に直面している地方も増えている。ちなみに、「聯合ニュース」(6月16日)は「地域消滅を防げ 超広域メガシティー造成・企業の移転支援」とのタイトルを付け、地方自治体と大学の協力促進支援策や、企業の首都圏から非首都圏への移転支援策などについて紹介した。

    (注)1カ月当たり30万ウォン(約3万円、1ウォン=約0.1円)から40万ウォンに拡充。

    (当間正明)

    (韓国)

    ビジネス短信 ffa14f0ef975af05