米・メキシコ首脳会談、7月12日にワシントンで開催へ、焦点は移民問題

(米国、メキシコ)

米州課

2022年06月30日

米国のカリーン・ジャンピエール大統領報道官は6月28日、ジョー・バイデン大統領が7月12日に、ホワイトハウスでメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領と会談すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ジル・バイデン大統領夫人は、同国のベアトリス・グティエレス・ミュラー大統領夫人を迎え入れる。

ジャンピエール報道官の声明によると、両首脳は、食料安全保障や2国間のハイレベル経済対話で実施中の競争力イニシアチブ、移民問題での協力、中米地域における共同開発の取り組み、安全保障、気候変動やエネルギーといった地球規模の課題について、議論することを予定している。

AMLO大統領は、6月6~10日にロサンゼルスで開催された第9回米州首脳会議(2022年6月14日記事参照)をめぐり、米国がキューバ、ニカラグア、ベネズエラといった中南米の左派政権の首脳を招待しなかったことを理由に、同会議への出席を見送った。両首脳はこれに先立って、4月16日にオンライン形式の会談を実施し、事前の意思疎通も行っていただけに、両国関係がこじれたかたちとなっていた。

実施が予定される今回の首脳会談については、特に移民問題への対処に注目が集まっている。6月27日に米国テキサス州サンアントニオ郊外で、駐車されていた大型トラックから不法移民とみられる遺体が多数見つかり、当局は28日時点で、少なくとも51人の死亡を確認したと発表している(ロイター6月29日)。メキシコのマルセロ・エブラル外相は、死者のうち25人程度はメキシコ人で、そのほかはホンジュラスおよびグアテマラ出身者との認識を示しており、AMLO大統領は、バイデン大統領との首脳会談で移民問題を取り上げると述べている(ブルームバーグ6月28日)。

また、同国のアダン・アウグスト・ロペス内相は6月22日、米国との国境にある都市ティファナで行った演説で、米国政府とは日々、対話を重ねているとした上で「米国政府は、まず30万人分の一時就労ビザを発給することに合意した。そのうち、15万人分はメキシコ人またはメキシコ国内で米国への移住を望んでいる外国人に付与され、残りの15万人分は中米諸国に割り当てられるだろう」と述べ、この措置がAMLO大統領の訪米時に発表されるとの見方を示した(ロイター6月23日)。

ポリティコ紙とモーニング・コンサルトが6月17~20日に実施した世論調査によると、移民問題に対するバイデン大統領の支持率は34%(不支持率54%)となっており、バイデン大統領の仕事ぶり全体に対する支持率(42%)を押し下げる要因となっている。バイデン大統領がAMLO大統領との会談を通じて、移民問題に対しどのような姿勢を示すかは、11月の中間選挙を見据えた動きとしても重要になる。

(片岡一生)

(米国、メキシコ)

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