米エネルギー産業の2021年雇用者数は前年比4%の伸び、クリーンエネルギー分野で増加

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月30日

米国エネルギー省が6月28日に公表したエネルギー産業雇用報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年のエネルギー産業の雇用者数は前年比4%増の780万人超に達したことが明らかになった。伸び率は、全産業平均の2.8%増を大きく上回っている。

雇用の伸びを牽引したのは、太陽光発電や、電気自動車(EV)を含むクリーン自動車関連などのクリーンエネルギー分野で、それぞれ前年比5.4%増、9.8%増の伸びを示した。こうした、いわゆるカーボンネットゼロ関連分野の雇用者数は約310万人で、エネルギー産業の雇用者数全体の41%を占めるまでに拡大したとしている。逆に、最も雇用者数を減らしたのは石油や石炭などの化石燃料分野の雇用で、それぞれ6.4%減、11.8%減だった。また、州レベルでの目立ったエネルギー産業の雇用の動きとして、テキサス州では3万1,000人の新規雇用があり、そのうちクリーン自動車の製造に関連した雇用が約5,000人、エネルギー効率化に関連した雇用が約7,000人あった。また、カリフォルニア州でも2万9,000人の新規雇用があり、そのうち、クリーン自動車の製造に関連した雇用が約1万1,000人、太陽光発電関連の雇用が約2,000人あったことを紹介している。

活発な州レベルでのクリーンエネルギーの動きに呼応し、連邦政府は6月23日、洋上風力発電開発を加速させるため、州とのパートナーシップを結ぶことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。参加州は、米国北東部を中心としたコネティカット、デラウェア、メーン、メリーランド、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ロードアイランドの11州。これらの州の洋上風力発電開発に際して、資金支援や供給網構築支援を行っていくとしている。バイデン政権が掲げる、2030年までの洋上風力発電による総発電容量30ギガワット(GW)の達成に向けて(2021年3月31日記事参照)、今後さらに米西海岸やメキシコ湾岸など南部にも同パートナーシップを拡大していきたい考えだ。

クリーンエネルギー分野の雇用拡大、石油や石炭など化石燃料分野の雇用縮小が顕著だった今回の報告書だが、足元ではウクライナ情勢の長期化からガソリンなど原油価格が高騰していることから、国内の石油会社に対する増産の期待は高くなっている。ガソリン高をめぐり、石油大手7社と6月23日に対応を協議(2022年6月29日記事参照)したエネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は、今回の報告書公表に際して「2022年の石油産業の雇用は増加するはずだ」「石油供給の増加を見たい」と述べている(ロイター6月28日)

(宮野慶太)

(米国)

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