中央準備銀行、政策金利を5.50%に引き上げ、インフレ率正常化時期の見通しは維持

(ペルー)

リマ発

2022年06月13日

ペルー中央準備銀行(BCR)は6月9日の金融政策決定会合で、政策金利を再び0.5ポイント引き上げ、5.00%から5.50%にすると発表した(2022年5月24日記事参照)。BCRは今回の引き上げの背景について、以下のとおり発表している。

  1. 国際的な食料や燃料価格の急上昇により、直近12カ月間の累計インフレ率が4月の7.96%から5月には8.09%となり、政府目標値(1~3%)を上回った。食料とエネルギーコストを除いた12カ月間累計インフレ率も4月の3.81%から5月には4.26%に上昇し、同様に政府目標値を上回っている。
  2. 2021年後半から続いている原油や食料価格の顕著な高騰に加えて、直近の国際紛争などによる影響が世界的に過去数年間に類を見ない規模のインフレ率上昇を先進国や中南米地域にもたらしている。そのため、インフレ率が目標値(1~3%)内に収まるのは2023年第2四半期(4~6月)~第3四半期(7~9月)ごろになる見通し。
  3. インフレ率が下落傾向になるのは、同指標に影響する為替、原油や食料価格の高騰が収まり、経済活動がまだ本来の水準を下回っているだろう2022年の7月以降の見通し。
  4. 2022年のインフレ率の見通しが4月から5月にかけて4.62%から4.89%に上昇し、政府目標値の上限を上回っている。
  5. 経済評価指標や見通し指標の多くが悲観的傾向にあるが、5月は多少の改善が見受けられる。
  6. 世界的に経済活動は回復基調にあるものの、消費財やサービスの国際供給力の低下、先進国における財政刺激策などの効果に対する不透明感、中国における新型コロナウイルスによるロックダウンや国際紛争などの影響により鈍化している。

BCR理事会では、インフレ率やその見通しや経済動向などを引き続き注視しながら、不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は7月7日を予定している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 fa36cb9075792d7d