南部ベンチェ省、グリーン水素工場の建設を計画

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年06月07日

ベトナム南部のベンチェ省で、地場企業のTGSグリーン水素がドイツの水素製造技術を活用したグリーン水素工場の着工を6月末に計画している。同工場は2024年の第1四半期(1~3月)に試運転を開始する見通し。5月25日付の政府広報などが伝えた。

同工場はグリーン水素(注)を年2万4,000トン、アンモニアを年15万トン、酸素を年19万5,000トン製造する予定。設備の増強後は、同水素を年6万トン、アンモニアを年37万5,000トン、酸素は年49万トンへそれぞれ倍以上に生産能力を高める計画だ。

投資総額は19兆5,000億ドン(約1,092億円、1ドン=約0.0056円)で、同工場はベンチェ省バチ郡の公用地(22.7ヘクタール)に建設予定となっている。この工場稼働により、同省では年間2兆ドンの予算収入増と、500~1,000人規模の雇用創出を見込んでいる。

TGSグリーン水素の親会社グリーンソルーショングループは2022年3月、ドイツの鉄鋼大手ティッセンクルップとの間で、2022年~2050年のベトナムでのグリーン水素とグリーンアンモニアの生産に関する協力協定を締結している。同グループは太陽光発電や風力発電、液化天然ガス、バイオマスの再生可能エネルギープロジェクトに携わっており、ベトナム南部チャビィン省でもグリーン水素工場(21ヘクタール)の建設計画がある。

ベンチェ省の都市開発マスタープランによると、同省は2030年までにメコンデルタ地域の近代的な発展都市となることを目指しており、グリーン水素工場の設置は、国と地域のグリーンエネルギー産業の先導役としての役割が期待されている。

(注)再生可能エネルギーを使用し、製造工程でも二酸化炭素(CO2)を排出せずに製造された水素。

(児玉良平、村岡一機)

(ベトナム)

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