衣料品の対日輸出が新型コロナ感染拡大前の水準に

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2022年06月21日

日本の財務省貿易統計によると、2022年1月~4月の衣類・衣類付属品(輸入統計品目表の61類・62類)のミャンマーからの輸入は、数量が約5,880万点(2019年同期比18.9%増)、金額が約389億4,500万円(同6.1%増)となり、ともに新型コロナウイルス感染拡大以前の実績を上回った。衣類などの対日輸出は、新型コロナウイルス感染拡大や2021年2月の国軍による権力掌握の影響で、生産が不安定になったり、日本からの発注が中断したりしたことにより、低調が続いていた。

日本の衣類・衣類付属品のミャンマーからの輸入額は、2020年が前年比9%減の約1,027億9,400万円、2021年が2019年比で34.3%減の約742億1,000万円と、2年続けて2019年の実績を下回ったが、このまま順調に推移すると、同製品の通年の対日輸出額は増加に転じるものとみられる。

ミャンマーの衣料品産業にとって、欧州と日本は輸出先の1位と2位の重要な国・地域だ。ミャンマー縫製業者協会(MGMA)によると、ミャンマー製衣料品は、全輸出の半分強が欧州向け、残りの約半分が日本に輸出されている。日本からミャンマーへの発注は増加してはいるが、欧州からミャンマーへの発注は日本の増加率を上回っているという。在ミャンマー日系衣料品製造企業関係者からは「ミャンマーの最近の衣料品製造の活況が日本の客先に必ずしも伝わっておらず、新型コロナウイルス感染拡大や政変が引き続き衣料品製造と輸出に悪影響を及ぼしているとして、ミャンマーへの発注再開をためらう姿勢がある」と指摘する声もある。

ミャンマーでは、外貨が不足し、その調達が困難なことから、製造業の原材料や中間財の輸入・調達に困難が生じている。一方、衣料品製造企業の多くが委託加工形態のCMP(Cutting, Making and Packing、注)企業で、原材料や中間財の輸入で外貨が不要で外貨不足の影響を受けにくいことから、今後、日本からの発注が本格的に拡大することが期待される。

(注)顧客が原材料(生地やボタンなどの付属品)の選定・調達とコスト負担を行って衣料品製造企業に加工を委託し、委託加工手数料を払う。ミャンマー国内の工場で裁断(C)、縫製・仕上げ(M)、梱包(P)して製品を全量再輸出(加工貿易)することからCMPと呼ばれる。

(アジア大洋州課)

(ミャンマー)

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