英国、米インディアナ州と貿易・経済発展に向けた覚書締結

(英国、米国)

ロンドン発

2022年06月06日

英国政府は5月27日、米国のインディアナ州と貿易・経済発展に向けた覚書(MoU)を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことを発表(英国政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。英国が米国の州政府との間で、貿易・経済発展に関する覚書を締結するのは初めて。覚書により、双方の貿易・投資に関する障壁撤廃に向けた枠組みを設けるとしている。英国政府によれば、同州への財の輸出額は14億ドルとなっている。

覚書では、双方が、研究、科学技術、起業、イノベーションが経済成長の基礎との認識に加えて、新興技術の商業化や国内・域内企業の成長の促進に向けて、双方の取り組みを強化する必要性があるとの認識を共有。協力の強化、低排出技術の促進に向けた取り組みのさらなる発展、貿易・投資の障壁撤廃、学術・研究における関係強化、の4点を目的とした。投資障壁の撤廃の一環として、専門資格の相互承認に向けた取り組みを開始するとした。主な協力分野として、双方のビジネス交流の促進を挙げ、先端製造業、宇宙・航空、グリーン経済やエネルギー移行などの面で関係強化をはかるとした。また、イノベーションや規制協力の分野では、ベストプラクティスの共有などを通じ、イノベーションを支援、促進する。優先産業としては、先端製造業や宇宙・航空のほか、先端素材、ライフサイエンス、農業・農業生命科学、自動車、低排出技術、エネルギー・インフラが挙げられている。覚書の実行に当たっては、6カ月以内に双方の代表者によって構成されるワーキンググループを設置、情報共有や関係強化を促進するとしている。このほか、政府調達についても、インディアナ州側が英国のサプライヤーの待遇改善についても取り組むとしている。

下院の5月27日付資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、英国は2020年5月に米国との自由貿易協定(FTA)交渉を開始し、2020年中に第5ラウンドまで交渉が行われていた。新たなFTA締結よりも国内政策を重視するバイデン政権下では、交渉が行われておらず、英国側は州政府レベルでの合意を模索していた。一方で、州政府との合意はFTAと異なり、関税削減につながるものではないと分析されている。

ブルームバーグ(2022年5月27日)によれば、英国はカリフォルニア、ジョージア、テネシー、オクラホマ、サウスカロライナなどの州と交渉を行っている。

(山田恭之)

(英国、米国)

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