米主催のエネルギー・気候主要経済国フォーラム開催、COP27に向け協調呼び掛け

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月23日

米国のバイデン政権は6月17日、第3回エネルギーと気候変動に関する主要経済国フォーラム(MEF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをオンラインで開催した。同会議には岸田文雄首相や、温室効果ガス(GHG)排出量が多い中国の習近平国家主席など、EUや国連なども含めて24カ国・地域の代表が参加した。

ジョー・バイデン大統領は「ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界的なエネルギー危機が触発され、長期的に信頼できるエネルギーの安全保障と安定性が急務となっている」と述べた上で、ロシアによる戦争が脆弱(ぜいじゃく)な国々を深刻な食料不足に陥れる中、われわれはこの危機の直接的な影響を緩和するために協力する必要があると訴えた。

会議では、(1)米欧が主導するグローバル・メタン・プレッジ(GMP、2021年9月21日記事参照)の取り組み、(2)クリーンな輸送手段の促進、(3)クリーンエネルギーの技術開発、(4)食料安全保障の強化という4つの議題について話し合った。(1)では、GMPの参加国が120カ国に拡大し、参加国によるメタンガス排出量は世界全体の40%を占めている状況にあって、米国が参加国に継続した取り組みを訴えた。(2)では、米国が2030年までに新車販売の50%を電動車に引き上げる自国の目標を説明し、各国に同様の目標設定を促すとともに、海運業界の電動化推進など脱炭素化に取り組むよう求めた。米国は(3)に関して、国際エネルギー機関(IEA)が勧告する900億ドルの公共投資目標に各国の積極的な取り組みを呼びかけ、(4)については、小麦と肥料の価格が高騰する中(注)、2022年11月にエジプトで開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)までに1億ドルの資金調達を目標とする新たな取り組みへの参加を求めた。

閉会に当たってあいさつしたジョン・ケリー米大統領特使(気候変動担当)は、各国がさまざま側面で協力し環境対策に取り組んでいることに言及するとともに、COP27に向けてさらに協調した取組みの強化を求めた。

今回のMEF開催の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で取り組みが遅れがちとされる環境対策について、COP27を前に世界的な協調を再確認する意味合いがあったとみられる。加えて、バイデン政権の支持率は現在4割程度と低下傾向にあり(2022年6月14日記事参照)、特に環境対策に敏感とされる18~34歳の若年層の支持率が最新6月調査で41%と、大統領就任時(61%)から大幅に減少している中、11月の中間選挙に向けて政権の環境対策をアピールする狙いもあったように思われる。

(注)ロシアとベラルーシが肥料の世界シェアの17.8%を占めている。

(宮野慶太)

(米国)

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