米商用EVメーカーのELMS、破産手続き開始

(米国)

シカゴ発

2022年06月24日

米国の商用電気自動車(EV)メーカーのエレクトリック・ラスト・マイル・ソリューションズ(ELMS)は6月13日、米国証券取引委員会に連邦破産法7章に基づく破産手続きを開始した。同社はミシガン州トロイ市に本社を構え、クラス1(小型配達用バン) では米国初となる商用EVメーカーとして2020年に設立された。

ELMSでは、2022年2月にジム・テイラー最高経営責任者(CEO)と創業者のジェイソン・ルオ会長が株式購入に関する取締役会の調査を受けて辞任した後、ショーナ・マッキンタイア氏が暫定社長兼CEOに就任していた。その後、同社は3月に従業員の24%に当たる50人を解雇するなどコスト削減を図ったものの、過去の財務諸表に対する信頼性の欠如や、米国証券取引委員会による調査開始などの影響によって、新たな監査人を確保して追加資金を獲得することが困難となり、破産を申請するに至った。

マッキンタイア暫定社長兼CEOは「商用EVの投入により、二酸化炭素の排出量削減に貢献するという大きな決意を実現できなかったことを残念に思う。限られた短い時間で多くの問題を解決することができなかった。しかし、多くの優秀な従業員が将来、エネルギー転換の取り組みに重要な役割を果たすと確信している」と述べた。

報道によると、同社は破産申請の時点で50億ドルの負債を抱えており、債権者の中にはミシガン州を拠点とする大手自動車部品サプライヤーなども含まれている(「オートモーティブ・ニュース」6月14日)。

素早く資金調達するも、ビジネスは軌道に乗らず

ELMSは特別買収目的会社(SPAC、注)と合併し、素早く資金を調達した後、2021年6月に上場し、年間の目標生産台数を最大10万台に設定していた。しかし、新型コロナウイルス流行によるサプライチェーンの停滞や企業内部の問題などが重なり、ビジネスが軌道に乗ることはなかった。なお、新興EVメーカーのルーシッド・グループやカヌー、ニコラ、ローズタウン・モーターズも、同社と同様の方法で迅速に株式公開と資金調達を行っている(「オートモーティブ・ニュース」6月13日)。

(注)2021年6月にフォーラム・マージャー・III・コーポレーションと合併。

(齋藤秀美、星野香織)

(米国)

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