経済、防衛、デジタルなど、日・シンガポール2国間協力の裾野拡大へ

(シンガポール、日本)

シンガポール発

2022年06月14日

シンガポールを訪問した岸田文雄首相は6月11日、リー・シェンロン首相と会談を行った。首脳会談で防衛装備品・技術移転協定の締結に向けて交渉を開始することで合意した。また、地域のサプライチェーン強靭(きょうじん)化に向けて、両国の知見を活用した第三国研修を2022年中にも実施することでも一致した。

岸田首相は会談後の共同会見で「シンガポールが日本の重要なパートナであり、5月末のリー首相の来日からわずか2週間での訪問は、2国間の緊密な環境の証左だ」と指摘した。その上で、今後も「シンガポールとの2国間協力の裾野を一層拡大していく」と述べた。両国は今回の首脳会談で経済、防衛分野の協力のほか、デジタル分野で両国の専門家会合を早期に開催することで一致した。さらに、気候変動や脱炭素化に向けた取り組みでも協力していくことで合意した。

リー首相は会見で、5月末の訪日の際に「日本・シンガポール新時代経済連携協定(JSEPA)」と、羽田便を中心としたシンガポールと日本間の航空便の増便に向けた見直しを求めたことに言及した。リー首相は、岸田首相がJSEPAの見直しに向けた官僚間の交渉に同意したことに謝意を表明。「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)と同水準すべく、JSEPAを見直せることを望む」と期待を示した。さらに、同首相は2国間の航空便について「2国間の旅行需要が数多く積み上がっており、羽田空港との航空コネクティビティーの強化が可能だ」と述べた。

両首脳はウクライナ情勢など国際情勢の諸課題についても意見交換をした。岸田首相は会見で、いかなる地域でも「力による一方的な現状変更は断じて許容できないとの認識を共有した」と強調した。

(本田智津絵)

(シンガポール、日本)

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