カナダ政府、使い捨てプラスチック禁止規制を公表、特定商品の製造・販売・輸出入が禁止に

(カナダ)

トロント発

2022年06月28日

カナダ政府のスティーブン・ギルボ環境・気候変動相およびジャンイブ・デュクロ保健相は6月20日、「使い捨てプラスチック禁止規制」の最終版を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同規制では、レジ袋、ナイフ・フォーク・スプーン類、リサイクル困難な外食の持ち帰り用の容器、缶ボトル携帯用リング、かき混ぜ棒、ストロー(医療上などの一部例外あり)の6商品分野への使い捨てプラスチック使用が禁止される。

施行開始の時期は、カナダ国内企業のスムーズな移行を可能にするため、製造、輸入、販売、輸出に関して段階的に設定された。一部の商品分野を除いて、製造や輸入は2022年12月20日、販売は2023年12月20日、輸出は2025年12月20日付で禁止となる。政府によれば、輸出禁止措置は、同様の禁止措置を進める国・地域の中では初めてという。

ジャスティン・トルドー首相は、2019年に使い捨てプラスチックを禁止する方針を発表し(2019年6月11日記事参照)、2021年末までの法制化を予定していたが、新型コロナウイルスの流行や下院議会の解散などで実施が延びていた。この間、カナダ国内でも各州や自治体が独自に対応策を講じてきた。ノバスコシア州やプリンス・エドワード・アイランド州、ニューファンドランド・ラブラドール州では、既にレジ袋の使用禁止が始まるなど、連邦の対応が待たれていた。今回の最終版は、草案が2021年12月に官報へ掲載された後、寄せられたパブリックコメントを踏まえて策定された。

カナダ政府は、2030年までのプラスチック廃棄物ゼロを目標として掲げる中、本規制の施行により、今後10年間でリサイクルが困難なプラスチック廃棄物を130万トン以上、プラスチック汚染を2万2,000トン相当分以上削減できると推定している。

カナダ政府による今回の発表を受け、飲食サービスの業界団体であるレストラン・カナダは「代替手段が不十分な状態で使い捨てプラスチックを市場から排除することで、代替商品への需要増による商品価格上昇を加味せずとも、業界は推定125%増のコスト負担を強いられる。レストラン経営者が代替商品を調達し、メーカーへ生産を行う時間を十分に与えるという意味で、導入開始時期については、もう少し時間をかけ、段階的に進める方が良かった」と声明を発表した。

なお、記者会見で、ギルボ環境・気候変動相は「最も一般的で代替が容易な6商品分野を最初のターゲットとして禁止品目に設定したが、今後新たな分野を追加する用意がある」と述べた。さらに、「特定商品の禁止は解決法の1つではあるが、プラスチックの生産企業がより多くの再生プラスチックを使用するように規制していくことも別の解決法だ」として、今後数カ月のうちに再生プラスチックに関する新基準制定に向けた計画を明らかにする予定だ、とコメントした。

(飯田洋子)

(カナダ)

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