2022年1~3月のFTA利用輸出額は前年同期比17.2%増

(タイ)

バンコク発

2022年06月17日

タイ商業省外国貿易局(DFT)は6月1日、2022年第1四半期(1~3月)のタイからの輸出における自由貿易協定(FTA)利用統計を発表した(注)。同統計によると、同四半期にFTAを利用したタイからの輸出額は、前年同期比17.2%増の199億9,446万ドルに上った。FTA利用が可能だった輸出額は283億8,935万ドルで、FTA利用率は70.4%となった(添付資料表1参照)。

仕向け地別でFTA利用額が大きかったのは、ASEAN(78億7,900万ドル)、中国(52億5,800万ドル)、オーストラリア(22億3,500万ドル)、日本(18億5,900万ドル)、インド(14億8,800万ドル)の順だった。中国向けは利用額の大きさに加えて、FTA利用率も100%を超えている。その他の主要輸出先についても、FTA利用率は約7~8割となっている。今回、日本については、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の利用可能品目に一般関税率が0%の品目も含まれており、分母が実際よりも多く計上されたため、日本向けのFTA利用率は31.3%と低くなっている(添付資料表2参照)。

協定別に利用額の大きいFTAは、ASEAN自由貿易地域(AFTA、ASEAN物品貿易協定:ATIGA)が78億7,900万ドル、ASEAN中国(ACFTA)が52億4,300万ドル、日本タイ経済連携協定(JTEPA)が17億3,000万ドル、タイ=オーストラリアFTA(TAFTA)が16億5,600万ドル、ASEANインドFTA(AIFTA)が13億4,600万ドルの順だった(添付資料表3参照)。

FTA利用の多い輸出品目は、協定ごとに以下のとおり。

  • AFTA:積載量5トン未満の貨物輸送車(HS8704.21)、その他のサトウキビ糖(HS1701.14)、その他の石油・歴青油(HS2710.19)など
  • ACFTA:合成ゴムと天然ゴムのラテックスを混合したゴム製品(HS4002.80)、キャッサバ(HS0714.10)、タピオカでんぷん(HS1108.14)など
  • JTEPA:鶏肉・内臓の加工品(HS1602.32)、冷凍家禽肉(HS0207.14)、デキストリン・でんぷん(HS3505.10)など
  • TAFTA:積載量5トン未満の貨物輸送車(HS8704.21)、シリンダー容量2500cc超の乗用車(HS8703.33)、シリンダー容量1500cc~2500ccの乗用車(HS8703.32)など
  • AIFTA:金属加工機(HS8463.90)、その他の銅線(HS7408.19)、ポリ塩化ビニル(HS 3904.10)など

(注)同統計で計上されるFTAは、タイが締結する14のFTAのうち、ASEAN=香港FTA(AHKFTA)とタイ=ニュージーランド経済緊密化連携協定(TNZCEP)を除く12協定。TNZCEPの原産地証明は自己証明のみで、商務省が発給当局ではないため、データが収集できない。また、香港は自由貿易港で、輸入関税がかからないため、FTAを利用する必要がない。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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