中央環境紛争調整委員会、風力発電機の運営事業者に1,463万円の賠償裁定
(韓国)
ソウル発
2022年06月09日
韓国の中央環境紛争調整委員会事務局は6月6日、風力発電機の稼働中に発生する低周波の騒音によって周辺地域住民が精神的被害を被った事案に対し、韓国で初となる被害者への賠償を裁定した。
全羅南道霊光郡にある2つの集落に居住する申請人(A集落の住人78人、B集落の住人85人)が集落近くの35基の風力発電機から発する低周波の騒音により精神的な被害を受けたとして、風力発電機の運営主体(被申請人)に対して2億4,450万ウォン(約2,592万円、1ウォン=約0.106円)の賠償を求めた。被申請人は、風力発電機の建設工事の開始前と商業運転開始初期に住民代表らに地域発展基金を支給したとして、賠償の責任はないと主張した。
双方の主張が対立する中、中央環境紛争調整委員会は騒音の専門家とともに2021年12月10日から7日間、申請人が居住する集落で風力発電機の騒音を実測した。その結果、基準周波数80ヘルツにおいて、A集落で最大85デシベル、B集落では最大87デシベルと、騒音被害の受忍限度の45デシベルを超過していることが判明した。
実測結果に基づき、同委員会は風力発電の低周波の騒音が申請人に精神的な被害を与えたと判断した。賠償額は、被申請人による地域発展基金の支給を考慮し、申請人が求めた賠償額から減額し、1億3,800万ウォン(約1,463万円)とした。
(当間正明)
(韓国)
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