米NZ首脳会談、インド太平洋での戦略的パートナーシップ強化を約束

(米国、ニュージーランド)

ニューヨーク発

2022年06月01日

米国のジョー・バイデン大統領は5月31日、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相とホワイトハウスで首脳会談を行い、「太平洋、インド太平洋そして世界のための21世紀のパートナーシップ」と題する共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

両国は共同声明において、(1)地域のアーキテクチャと安全保障、(2)インド太平洋の繁栄、(3)21世紀の諸課題の3点について、長期的なパートナーシップを強化していくと記し、特に(1)に多くの分量を割いた。

(1)において、両国は、インド太平洋が国際ルールに基づき、主権、強靭(きょうじん)性および繁栄を備えた国々で構成される地域となるようコミットしていくとし、その上で、開かれた包括的で、安定的かつ繁栄に満ちたインド太平洋にとって、強固で結束したASEANの重要性を認識しているとした。そのほか、ニュージーランドも参加する太平洋諸島フォーラム(PIF、注)や、日米豪印のクアッド(QUAD)、豪米英安全保障協定(AUKUS)の重要性も強調した。具体的な懸念として、中国とソロモン諸島が締結した安全保障協定に触れつつ、国連海洋法条約(UNCLOS)に従い、南シナ海など地域における航行の自由と上空飛行の自由を支持することを再確認した。そのほか、新疆ウイグル自治区での強制労働問題や、朝鮮半島の非核化、ロシアによるウクライナ侵攻など幅広い問題に対する結束をうたっている。

(2)では、2国間の貿易投資関係を拡大するために、貿易投資協定(TIFA)に基づく年次会合を再開することを明らかにした。地域的には、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を進展させるために、両国がその他12の創設メンバーとともに協力していくと明記し、フィジーの参加表明を歓迎するとした(2022年5月30日記事参照)。また、2023年に米国が主催するAPECや、閣僚会合を間近に控えるWTOについて、地域における貿易の拡大、ルールに基づく貿易システムの維持が重要と指摘している。

(3)については、喫緊の課題として気候変動対策を挙げた。両国は低炭素経済への移行に向けて、技術革新や投資の促進で協力するとともに、開発途上の島国も支援していくとしている。そのほか、海洋資源の保護・持続可能な利用、新型コロナウイルスの根絶や将来の公衆衛生危機対応など、幅広い課題で協力していくことを確認した。

(注)1971年に発足した枠組みで、大洋州諸国首脳の対話の場および地域協力の核となっている。オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア,フィジーなど16カ国・2地域が加盟し,政治、経済、安全保障など幅広い分野における地域協力を行っている。外務省説明ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(磯部真一)

(米国、ニュージーランド)

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