BMWの蓄電池セル製造コンピテンスセンター、2022年秋に稼働

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年06月01日

ドイツ自動車大手のBMWは5月23日、ミュンヘン近郊に建設中の蓄電池セル製造コンピテンスセンターを2022年秋に操業開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますすると発表した。

同社は現在、蓄電池セル製造コンピテンスセンター(Cell Manufacturing Competence Centre:CMCC)をミュンヘンの東に隣接するパルスドルフに建設中。今回、近隣への煤煙(ばいえん)・臭気など保護に関する排出規制の認可を得て、2022年秋の操業開始に向け、リチウムイオン電池セルの製造ラインの試運転を開始する。2段階で設備を拡大、2023年中の完全生産を見込む。CMCCは2020年の建設発表時点から拡大され、面積は1万5,000平方メートルで約80人を雇用、投資額は約1億7,000万ユーロとなる。また、CMCCの建設では、経済・気候保護省とバイエルン州経済・開発・エネルギー省が助成する(2020年7月30日記事参照)。

CMCCでは、次世代高性能蓄電池セルの生産プロセスを研究する。具体的には、実際の製造ラインを設け、セルの生産プロセスを分析し理解する。BMWは、現段階では自社による蓄電池セルの大量生産は手掛けないとしており、CMCCはあくまでも自社で蓄電池セルの品質、性能、費用などを理解するためのコンピテンスセンターの位置付けだ。BMWのエンジン・電気駆動の製造責任者のマルクス・ファルボーマーは「CMCCでセルの開発から製造までのバリューチェーンを構築することにより、BMWがセル製造業者と対等の立場で協議し、プロセスと技術を最適化することができる」としている。

BMWはミュンヘン市内にあるミュンヘン工場の近くにも、「蓄電池セルコンピテンスセンター(Battery Cell Competence Centre:BCCC)」を有する。総投資額2億ユーロで約200人が勤務、同センターでは蓄電池セル自体の研究を行っている。

BMWの2021年の電気自動車(EV)販売台数は前年比70.4%増の32万8,314台で、うちバッテリー式EV(BEV)は前年比約2.3倍の10万3,854台と急増している。販売台数全体に占めるBEVの割合も、2020年の1.9%から2021年は4.1%に拡大した。また、2021年には合計14の電動車モデルを提供、2025年には「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」と呼ばれる新しいコンセプトのBEVも販売予定。車載用蓄電池の需要も今後さらに拡大が見込まれる。

(高塚一)

(ドイツ)

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