日系企業の視察団がジョージア州とテネシー州を訪問、EV産業に注目

(米国、日本)

アトランタ発

2022年06月17日

ジェトロは6月6~9日、米国ジョージア州とテネシー州に日本企業による投資環境視察団を派遣した。両州では最近、電気自動車(EV)関連分野で米系および韓国系企業などによる投資が相次いで発表されている。同分野を中心にさらなる投資を呼び込みたい両州政府と、日系企業の海外進出を支援するジェトロが協力して視察を企画した。

視察団は現地集合型で、米国内、メキシコおよび日本から、自動車部品サプライヤーや商社など日系企業19社、25人が参加した。視察団は、州政府や自動車関連サプライヤー、人材育成・トレーニング機関などを訪れ、最新の投資動向や現地に拠点を構えるメリットおよび経営課題、人材育成面で受けられるサポートなどを聞いた。

ジョージア州では、韓国のSKイノベーション(バッテリー生産、投資額:26億ドル)や新興EVメーカーのリビアン(EV生産、50億ドル)、現代自動車(EVおよびバッテリー生産、55億ドル)などEV関連の大型投資が相次いでいる。2013年に日産がいち早くEV生産を開始したことで知られるテネシー州も同様だ。最近では、フォルクスワーゲン(VW)(EV生産、8億ドル)、ゼネラルモーターズ(GM)(EV生産、20億ドル)、GMと韓国のLGエナジーソリューションの合弁(バッテリー生産、23億ドル)、フォードとSKイノベーションの合弁(バッテリー生産、56億ドル)などが投資を発表している。

これらの動きを受け、関連サプライヤーの進出や拡張投資も見込まれる。視察団が訪問した、リチウムイオン・バッテリー向けサプライヤーのノボニックスもその1つだ。テネシー州チャタヌーガ市に、米国初となるEVバッテリー向け負極材工場の建設を発表したことで注目され、2021年11月の工場開所式には、米国エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官も出席した。

ジョージア州とテネシー州では、進出日系企業のプレゼンスが高く、ジョージア州では3万人以上、テネシー州では5万4,000人以上の雇用を生み出している。州内の雇用者数を国別でみると日本がトップで、州政府や郡関係者は日本を重要なパートナーと捉えている。視察に参加した日系企業からは「ジョージア州とテネシー州では、外資系の中でも日系企業が多く進出し、親日的な地域であると感じた」との感想が寄せられた。また、今回の視察を通じて、EV産業に関し「両州が電動化に向け積極的な誘致を行い、さまざまなプログラムを準備していることがわかった」との声が聞かれた。

(高橋卓也)

(米国、日本)

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