海運業界の国際展示会「ポシドニア2022」4年ぶり開催

(ギリシャ)

ミラノ発

2022年06月22日

6月6~10日の5日間、世界最大規模の国際海事展「ポシドニア2022」がギリシャのアテネで開催された。2年ごとに同地で開催される同展示会は、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、2018年以来4年ぶりの開催となった。「ポシドニア2022」には世界88カ国から1,964社が出展、24カ国が国別のパビリオンを設置し、製品やサービスを紹介した。6月16日に発表された主催者のプレスリリースによると、今回は約2万9,000人が来場した。

日本からは合計77社が出展した。また、日本船舶輸出組合、日本舶用工業会などが共同でジャパンパビリオンを設置し、三菱重工マリンマシナリ、ダイハツディーゼル、ヤンマーパワーテクノロジーなど15社が参加した。なお、日本船舶輸出組合は、会期中の7日には脱炭素化などをテーマにしたセミナーも開催していた。

脱炭素化、デジタル化など、持続可能な海運への挑戦

同展示会の6日の開幕式のスピーチで、欧州委員会のアディナ・バレアン委員(運輸担当)は、海運業における脱炭素化のためには、デジタル化と自動化が効率性を高める最適のツールだと強調。今回の同展示会で、海運のデジタル化に取り組むスタートアップや既存のIT企業による新規出展が増えた点を指摘した。また、船舶のクリーン燃料や脱炭素技術は、現時点で海運業界全体を満足させるレベルに達していないとし、バイオ燃料や液化天然ガス(LNG)など既存の技術を利用することで解決策を見いだすよう、世界の海運業者の代表に呼びかけた。

同じく開幕式において、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は、2021年7月に欧州委が打ち出した、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で55%削減する目標を達成するための政策パッケージ「Fit for 55」について言及した。海運業界の脱炭素化は、環境保護という側面はもちろん、投資機会としても企業にとって重要とし、EUの「Fit for 55」を推し進める絶好の機会だと強調した。

会期中には、持続可能な海運や脱炭素化、排出汚染物の削減に関するセミナーなどが多数行われた。韓国の現代重工業グループなどは「2050年に向けた脱炭素船およびグリーンタンカーについて」、シーコマース・アメリカは「脱炭素化:未来の船舶用燃料としてのメタノールの台頭」と題したセミナーを開催していた。

さらに会期中、ヨットレースなどの並行イベントも行われ、ギリシャ海運会議所のジョージ・パトラス会長は「ポシドニア」は国際海事の祭典、と述べ、来場者にギリシャの美しさを楽しむことも忘れないよう呼びかけた。

(井上友里)

(ギリシャ)

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