社会保険料納付猶予、17業種を対象に追加

(中国)

北京発

2022年06月09日

中国の人的資源社会保障部、国家発展改革委員会、財政部、国家税務総局は5月31日、「社会保険料の段階的な納付猶予政策の実施範囲拡大等の問題に関する通知」(人社部発[2022]31号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。5月23日に開催された国務院常務会議で打ち出された33条の措置(2022年6月2日記事参照)の中で、社会保険料の納付猶予措置が打ち出されていたが、通知はそれを具体化したものである。通知の主な内容は以下のとおり。

  • 社会保険3項目(養老、失業、労災)の保険料の納付猶予について、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大によって困難に陥っている、飲食・小売・旅行・航空・運輸の5業種に加えて、産業サプライチェーンへの影響が大きい医薬品製造業、自動車製造業など各種製造業を主とする17業種(注1)を新たに対象に追加する。猶予期間は養老保険が2022年末まで、失業保険と労災保険は最長1年間となる。既存5業種の養老保険の納付猶予も2022年末まで延長する。納付猶予期間中の滞納金は発生しない。
  • 新型コロナの影響が深刻な地域における中小企業、零細企業、個人事業主に対し、社会保険料3項目(養老、失業、労災)の納付を2022年末まで猶予する。納付猶予期間中の滞納金は発生しない。本措置は、企業従業員向け基本養老保険に加入している事業単位(注2)、社会団体、基金、社会サービス機構、法律事務所、会計事務所などに対しても同様に実施する。
  • 大企業の失業保険料還付率を30%から50%まで引き上げる。企業が大学新卒者を採用した場合、労働契約の締結と失業保険への加入を前提として、一時的な雇用拡大補助金として1人当たり最高1,500元(約2万8,500円、1元=約19円)を支給する。実際の補助額は各省が定め、実施期限は2022年末までとする。
  • 納付猶予を申請する企業は、新型コロナ感染拡大の影響で生産や経営が一時的な困難に陥り、赤字の状態にあるという条件を満たしている必要がある。各省は、現地の実情と基金の状況を踏まえ、各種社会保険の給付が予定通りに全額支給されることを確保した上で、具体的な実施弁法を制定し、実施手順、猶予期間、経営難の企業や感染拡大の影響が深刻な地域の認定基準、審査プロセス、業務メカニズムを決定する。

(注1)今回追加された17業種は、農業・食品加工業、紡織業、アパレル・服飾業、製紙・紙製品業、印刷・記録メディア複製業、医薬品製造業、化学繊維製造業、ゴム・プラスチック製品業、汎用設備製造業、自動車製造業、鉄道・船舶・航空宇宙・その他運輸設備製造業、計器・メーター製造業、社会事業、ラジオ・テレビ・映画・音響制作業、文化芸術業、スポーツ、娯楽業となる。

(注2)事業単位とは、社会のために事業を行い、経済的利益の追求を行わない団体を指す。主に教育、科学技術、文化、衛生管理などの活動が行われている。日本の独立行政法人や特殊法人に相当する組織。

(趙薇)

(中国)

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