2022年版のIMD世界競争力ランキング、インドが37位に上昇

(インド)

アジア大洋州課

2022年06月30日

スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)は6月15日、「世界競争力ランキング2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(2022年6月23日記事参照)。インドは63カ国・地域中37位で、前年の43位から6ランク順位を上げ、アジア各国・地域の中で最も急成長を遂げた。

1989年に始まった同ランキングで、IMDは各国・地域の競争力について「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4カテゴリー(20項目)、計333の指標からスコア付けしている。

インドの国内経済は1年間で30位から9位へと飛躍的な上昇をみせ、経済パフォーマンスは37位から28位にランクを上げ、全体の順位上昇に寄与した。ビジネスの効率性の主要サブファクターである労働市場は15位から6位に躍進し、企業の経営慣行やビジネスに対する姿勢・価値観といった項目でも改善がみられた。一方で、政府の効率性カテゴリー(社会的枠組み、政府の財政状況)やインフラ面(教育)での評価が低かった。特に、健康・環境の評価は62位と、対象国・地域の中でほぼ最下位だった。

同レポートでは、インドが直面する課題として、貿易の混乱やエネルギー安全保障の管理、新型コロナウイルスのパンデミック収束後の高いGDP成長率の維持、技能開発、雇用創出、資産の収益化、インフラ整備のための資源動員などを指摘している。他方、熟練した労働力や、コスト競争力、経済のダイナミズム、高い教育水準、オープンで前向きな姿勢などの項目がインド経済の魅力として評価が高かった。

IMDは2022年のビジネスに最も影響を及ぼすとされる重要項目として、インフレ圧力(50%)、地政学的紛争(49%)、サプライチェーンの混乱(48%)、新型コロナウイルス(43%)を挙げている。さらに、世界各国の競争力に影響を与える課題については、新型コロナウイルスによる感染者数、「ゼロコロナ(zero-tolerance)」政策と「ウィズコロナ(moving on from COVID)」政策など、新型コロナウイルス感染防止対策にみられる国家政策の違い、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などが含まれるとした。

(寺島かほる)

(インド)

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