経済学者の68%が2023年の米国景気後退を予測、世論調査

(米国)

米州課

2022年06月16日

フィナンシャル・タイムズ紙とシカゴ大学ブース・ビジネススクールは6月12日、共同で実施した世界の経済学者49人を対象とする米国の景気に関するアンケート調査の結果を公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

2021年第4四半期から2022年第4四半期における米国の実質成長率について、回答者の予測の中央値は2.5%となったほか、2022年12月時点の失業率は中央値で3.7%と予測された。米国連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利をどこまで引き上げるかに関しては、「3~4%未満」との回答が55%と半数を超えたほか、「2~3%未満」が22%、「4~5%未満」が14%となった。FRBは5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の誘導目標を0.75~1.0%にすることを決定したが(2022年5月6日記事参照)、多くの経済学者がさらなる引き上げを予測していることがうかがえる。

また、回答者の68%が、米国の景気は2023年に後退し始めると予測した。景気が後退する時期について、38%は同年の上半期(1~6月)、30%は同年の下半期(7~12月)と回答し、2022年中と予測した割合(2%)よりもはるかに多かった。6月12日にCNNの番組に出演したローレンス・サマーズ元財務長官は「ロシアのウラジミール・プーチン大統領の行動や原油価格の動向にもよるが、インフレが急激に改善する可能性は非常に低い。今のようにインフレ率が高く失業率が低い場合、ほとんど間違いなく2年以内に不景気が訪れる」と述べ、近い将来、米国の景気が後退する旨を主張した。

CBSが5月18~20日に実施した世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国の経済状況が悪いと感じている人の割合は69%に上り、前月の調査時点(63%)から6ポイント上昇した。6月3~6日に実施されたキニピアク大学の調査でも、ジョー・バイデン大統領の経済対策を支持する人は28%にとどまり、同大統領の支持率を押し下げる一因となっている(2022年6月14日記事参照)。

(片岡一生)

(米国)

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