消費者物価がさらに上昇、政府はインフレ防止策を延長へ

(ポーランド)

ワルシャワ発

2022年06月07日

ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は5月27日、これまで導入されていた一連の「インフレ防止シールド」(2021年12月6日記事2022年2月3日記事参照)のうち、5月で終了する予定であった一部の施策を延長する法改正に署名した。

今回の法改正により、以下の施策が7月末まで延長されることとなった。

  • 電力と特定のエンジン燃料(ディーゼル、バイオ燃料成分、エンジン用ガソリン、LPG)に対する物品税率の引き下げ
  • 家庭で使用される電力に対する物品税の免除
  • 上記の特定のエンジン燃料を販売する際の小売消費税の免除

また新たに、軽油の物品税率も6月から7月末までの2カ月間、EUの最低税率に引き下げられた。

マグダレーナ・ジェチコフスカ財務相はこれらの施策延長について、「世界市場におけるエネルギー原料の価格上昇が、ポーランドや他のEU諸国におけるインフレ上昇の主な原因であり、燃料価格の上昇を抑えることは食料価格を含む他の経済分野の物価の安定にも寄与するはずだ」とコメントしている。なお、「インフレ防止シールド2.0」で導入されている食品、肥料、燃料のVAT率の引き下げは、従来通り7月末まで継続される。

ポーランド中央統計局が5月31日に発表した5月の消費者物価指数(CPI、速報値)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比13.9%上昇した。これは、4月の同12.4%を上回る。また、ポーランド中央銀行(NBP)のインフレ率の目標値2.5%の許容範囲の上限である3.5%を13カ月連続で超えている。ポーランド経済研究所は、夏季休暇シーズン(7~8月)に向けた需要増と在庫減の影響を受け、燃料価格は引き続き上昇すると予測している。また、ポーランドの食料品価格は、世界的な供給の問題により前年比20~21%上昇する可能性があると指摘している。なお、同研究所によると物価上昇率は8月にピークを迎え、15%程度になると予想されている。

(今西遼香、ニーナ・ルッベ)

(ポーランド)

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