米ハワイアン航空、地元企業とバイオジェット燃料実用化を検討

(米国)

ロサンゼルス発

2022年06月10日

米国のハワイアン航空(本社:ハワイ州ホノルル)とハワイ州で製油所やガソリンスタンドを運営するパー・パシフィック(テキサス州ヒューストン)傘下のパー・ハワイ(本社:ハワイ州カポレイ)は6月8日、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuels、SAF)の実用化に向けた調査を共同で行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社は、これまで用いられてきたケロシン系ジェット燃料の全て、またはその一部を持続可能な原料から作られた燃料への置き換えを目標とし、今回の取り組みを「両社にとって、二酸化炭素排出量の削減や気候変動への対応、ハワイにおける、より持続可能なエネルギーの未来に向けた大きな一歩」と位置付けている。

署名した覚書に基づき両社は、パー・ハワイのカポレイ製油所の処理装置のうち2つを再生可能燃料の生産に転換することの潜在性を共同で評価する。また、地域での油糧作物の生産や、SAFおよびそのほかの再生可能製品の生産に用いることができる持続可能な原料輸入の実現可能性について研究するとともに、利害関係者を招集し、ハワイ州での再生可能燃料の生産促進に向けた連邦政府および州政府の政策やプログラムを支援し、特定化していくという。

ハワイ州エネルギー局で最高エネルギー責任者を務めるスコット・グレン氏は、今回の発表を受け、「ハワイ州では、温室効果ガス排出の半分以上を運輸業が占めており、本分野では州内最大のプレーヤーであるハワイアン航空とパーにとっては、当州が掲げるクリーンエネルギーと脱炭素に関する目標に貢献する絶好の機会となる」とコメントし、両社の連携に期待感を示した。

航空業界では、温暖化対策の国際的な枠組みとして、国連の下部組織である国際民間航空機関(ICAO)が「国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」を設定しており、バイオジェット燃料導入や炭素クレジット購入によるカーボン・オフセットが2027年から義務化される予定。世界の主要な航空会社がバイオジェット燃料の調達に動いており、今回のハワイアン航空の発表は、こうした動向に軌を一にした動きともいえる。

(永田光)

(米国)

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