米国の影響力低下とともに中国の興隆を裏付け、米シンクタンク調査

(米国、中国、インド、ドイツ、フランス、ロシア)

米州課

2022年06月24日

米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは6月23日、米国および主要国のほか、国際機関の影響力に関する世論調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

それによれば、米国の影響力が「強くなった」とする割合が19%だったのに対して、「弱くなった」とする割合は47%となった。一方、中国の影響力が「強くなった」とする割合は66%と高く、「弱くなった」とする割合(10%)を大幅に上回り、米国の影響力の低下とともに近年の中国の興隆を裏付ける結果となった。

米国の影響力に対する見方については、支持政党別での違いが浮き彫りになった。共和党支持者では、米国の影響力が「弱まった」という回答が63%と高く、特に、共和党支持者のうち保守派では70%に達した。一方、民主党支持者では、米国の影響力が「弱まった」とする割合は37%で、民主党支持のリベラル派では43%となった。

また、性別では、米国の影響力が「弱まった」とする男性の割合は52%となり、女性(42%)を上回った。

中国の影響力に対する見方については、国際問題に関する知識レベルが高い人ほど中国の影響力が強まったと認識している傾向がみられた。知識レベルを3段階に分けた場合、中国の影響力が「強まった」とする割合は、知識レベル別で「高程度」82%、「中程度」70%、「低程度」45%となった。「高程度」と「低程度」の差が37ポイントまで広がるなど、大きな違いがみられた。

また、ロシアの影響力については、「強まった」とする割合が38%、「弱まった」とする割合は37%となり、大きな違いはみられなかった。その他の主要国については、インドでは「強まった」とする割合が23%(「弱まった」11%)、ドイツでは21%(「弱まった」15%)となったほか、英国では13%(「弱まった」23%)、フランスでは12%(「弱まった」17%)だった。

NATO、EU、国連の各国際機関に対する認識については、影響力が「強まった」とする割合は、NATOが最も高く34%(「弱まった」25%)、続いてEUが22%(「弱まった」32%)、国連が16%(「弱まった」39%)の順となった。支持政党別でみると、NATOの影響力が「強まった」とする割合は民主党支持者では39%と高く、共和党支持者では29%にとどまった。EUに関しては、民主党支持者(25%)、共和党支持者(20%)は5ポイント差、国連については、民主党支持者(17%)、共和党支持者(15%)と2ポイント差だった。

(注)国連、NATO、EUに関する調査の実施時期は、5月16~22日。対象者は、全米の成人1万188人。それ以外の調査の実施時期は、3月21~27日。対象者は、全米の成人3,582人。

(松岡智恵子)

(米国、中国、インド、ドイツ、フランス、ロシア)

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