バイデン米大統領、違法漁業の取り締まりを強化する覚書に署名、中国を念頭

(米国、中国)

米州課

2022年06月29日

米国のジョー・バイデン大統領は6月27日、違法・無報告・無規制(IUU)漁業と関連する強制労働に対処するための国家安全保障に関する覚書に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。海洋の持続可能性について話し合う第2回国連海洋会議が、6月27日~7月1日にポルトガルで開催されるタイミングで、違法漁業の取り締まりを強化する米国の姿勢を明確にするかたちとなった。

関係閣僚に対する指示などが示された同覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますには、IUU漁業や関連する有害な漁業慣行は海洋の健全性に対する最大の脅威の1つで、世界的な乱獲の主因となって、多くの国々の経済成長、食料システムおよび生態系にとって重要な漁業の崩壊あるいは衰退をもたらしている、と指摘されている。また、IUU漁業はしばしば、強制労働や人権侵害を伴っており、これらを放置すれば米国の経済的競争力や国家安全保障、漁業の持続可能性、世界中の漁民の生活および人権が損なわれ、気候変動にも悪い影響を及ぼすとして、米国政府がこれに対処する必要性を強調している。

バイデン大統領は、関係省庁に対して、IUU漁業における強制労働やその他の犯罪を阻止するため、他国や民間セクターと協力して海洋の持続可能な利用を促進し、米国の水産関係者に裨益(ひえき)をもたらす外交・通商政策を推進するよう指示した。また、各省庁は、水産業のサプライチェーンにおける強制労働の問題に対処するため、省庁間の調整や既存のツールおよび権限の利用を強化するよう明記されている。持続可能な漁業の実現には、多国間および地域間の解決策が重要として、各省庁に対し関係する国際機関との協力強化が命じられた。その指示の中には、南アジア、東南アジア、太平洋諸島における海洋状況の把握と海洋安全保障を強化するために、国務長官と国防長官が米国、日本、オーストラリア、インドの4カ国(クアッド:QUAD)協力を促進し、最新の商業衛星データを用いることも含まれている。

ホワイトハウスのファクトシートによると、米国、英国およびカナダは、IUU漁業問題に対処することを目的とした同盟を立ち上げる予定。この同盟により、漁業の監視や管理を改善し、漁船団と水産物市場の透明性を高め、悪質な業者の責任を追及する新たなパートナーシップを構築することが期待されている。

今回の覚書は、中国を念頭に置いているものとみられる。バイデン政権の高官は記者団に対して、「中国は、世界においてIUU漁業を推進する主要国の1つで、国際機関におけるIUU漁業と乱獲への対策の進展を妨げてきた。米国は、中国が旗国としての責任を完全に果たし、違法漁業防止寄港国措置協定(PSMA)などの合意に協力するよう促してきたが、同国がIUU漁業と戦う国際社会に積極参加および支援することを求める」と述べている。

(片岡一生)

(米国、中国)

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