カナダ・オンタリオ州議会選、進歩保守党が圧勝し政権続投へ
(カナダ)
トロント発
2022年06月08日
任期満了に伴うカナダ・オンタリオ州議会選挙(定数124)が6月2日に実施された。与党のオンタリオ進歩保守党(党首:ダグ・フォード州首相)は改選前の67議席から83へ増やして過半数を維持し、フォード州首相による政権続投が決まった。6月3日時点の開票率は98.98%となっている。
野党第1党のオンタリオ新民主党(党首:アンドレア・ホーワス氏)は改選前の38議席から31へ減らし、ホーワス氏は敗北の責任を取って党首を辞任する意向を表明した。また、オンタリオ自由党(党首:スティーブン・デルデュカ氏)も1議席増の8議席となったものの、公式政党(注)の要件となる12議席には届かず、デルデュカ氏自身も落選し、党首を辞任する意向を表明した。投票率は43.03%で、史上最低になるとみられている(CBCニュース6月4日)。
進歩保守党は今回の公約として、州北部の鉱物資源を電気自動車やバッテリーの製造へ供給するためのインフラ整備や高速道路建設を挙げたほか、前回2018年の選挙時の公約には含めていなかった最低賃金引き上げや職業訓練に対する投資など、労働者層を意識した政策も掲げた。同党のストラテジストを務めるデービッド・タラント氏によると、路線変更は2019年のモンテ・マクノートン労働相の起用までさかのぼるという。同労働相は労働組合への党の支持拡大を任され、最低賃金引き上げ反対方針を撤回するなど、労働者に向けた変更を相次いで行った。その結果、複数の建設系労組が支持を表明し、同党は幅広い有権者層に受け入れられた(「グローブ・アンド・メール」紙6月3日)。
フォード州首相は2日夜の勝利演説でも「北部の鉱山労働者が失業したら、われわれはその地域へ道路を建設中であることを知ってほしい。地元の自動車工場での仕事が心配なら、われわれがオンタリオ州の自動車産業の未来に投資していることを知ってほしい。技術部門で働きたい学生には、仕事を用意して待っている」とコメントし、労働者へ寄り添う姿勢を鮮明にした(CBCニュース6月3日)。
翌3日の記者会見では、組閣や州議会の召集時期についての質問が出たが、フォード州首相は明言を避けており、今後の発表が待たれる。
(注)州議会で公式に認められた政党。公式政党として認められなくなると、政党助成金が支給されず、州議会の代表質疑の際に質問をすることができなくなる。
(飯田洋子)
(カナダ)
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