産業・先端技術省が「Make it in the Emirates」フォーラム開催

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2022年06月30日

アラブ首長国連邦(UAE)産業・先端技術省(MoIAT)は6月21~22日にアブダビで、アブダビ経済開発局(ADDED)、アブダビ国営石油会社(ADNOC)と共同で「Make it in the Emirates Forum」を開催した。UAEの産業部門の投資機会のPRを目的とした同フォーラムでは、アブダビ大手国営企業や政府関係者20人以上が講演を行い、民間企業や投資家、政府機関、金融機関の代表者など約1,300人が出席した。

UAEでは従来、外資100%の会社設立を認める法律改正やビザ要件の緩和(2022年5月10日記事参照)など、外国人や外国企業がビジネスを行いやすい環境づくりを積極的に進めているが、今回のフォーラムでは「国内産業の成長戦略」を中心テーマに掲げ、サプライチェーンの現地化を目的とした「In-Country Value(ICV)プログラム」(注)の意義をあらためて強調した。UAE政府は外資誘致を進める一方で、国内や自国民の雇用にも配慮し、双方のバランスを取りながら政策を進めようとする姿勢を見せている。

フォーラム冒頭で講演したスルターン・アール・ジャベール産業・先端技術相は、新型コロナウイルス感染拡大を通して学んだ教訓として、自給自足とレジリエンスの向上が重要だと述べた。それらの実現のため、今後の産業戦略では、持続可能な経済開発と強力な製造業構築を中核に据える方針とした。また、ICVプログラムの11の重点分野(添付資料表参照)を紹介し、現在45の政府機関、6つの大手国営企業、5,500の地元企業がこのプログラムに参加しているとした。

このうちADNOCは、掘削機や空調システム、計測機など700億ディルハム(約2兆5,900億円、1ディルハム=約37円)相当の製品を現地調達すること目指すとした。UAE企業やインテック・オーガニックス社などのインド系企業と210億ディルハム相当の契約を結び、契約相手との合弁会社設立も視野に入れ、現地調達率を拡大する予定としている。

フォーラムでは、ADNOCをはじめとした大手国営企業やUAEに製造拠点を持つ外資系企業の幹部によるパネルディスカッションが行われたほか、国営企業や政府機関が個別にプレゼンを行い、具体的な投資機会を紹介した。特にADNOCは石油分野で掘削機や配管、自動・制御装置など、複数の事業で外国企業が参入できる具体的な需要があることを示した。

写真 JFEスチール、伊藤忠丸紅鉄鋼、General Holding Corporation PJSC /SENAATの3社が出資するAL GHARBIA PIPE COMPANYの姉崎満社長もパネルディスカッション参加した(写真左端)(ジェトロ撮影)

JFEスチール、伊藤忠丸紅鉄鋼、General Holding Corporation PJSC /SENAATの3社が出資するAL GHARBIA PIPE COMPANYの姉崎満社長もパネルディスカッション参加した(写真左端)(ジェトロ撮影)

写真 ADNOC展示ブース(ジェトロ撮影)

ADNOC展示ブース(ジェトロ撮影)

(注)ICVは、公共事業や国営企業などが調達を行う際に、参入しようとする企業に対して求められる指標で、現地生産・製造の有無や、UAE自国民の雇用創出などの観点から、当該企業がいかにUAE経済に寄与しているかを示すスコア。現在、主にアブダビの国営企業や政府機関が採用している。

(堀池桃代)

(アラブ首長国連邦)

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