欧州諸国、エチオピアからのニット製品輸入が減少

(エチオピア、EU)

アディスアベバ発

2022年06月03日

ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に、繊維・縫製品(注)におけるEUの対エチオピア輸入額(ドルベース)をまとめたところ、2021年以降、減少していることが分かった(添付資料図参照)。

主力のニット製品の場合、欧州各国が新型コロナウイルス感染症の脅威に見舞われた中でも2020年末まで増勢基調にあった。繊維・縫製品以外のEU側の輸入が減っていたこともあり、2020年には、繊維・縫製品がエチオピアからの輸入全体の12%(四半期平均)を占めた。しかし、ニット製品は、2021年に入ると一転して落ち込み、700万ドル内外の水準となっている。織物製品は、2021年第2四半期に900万ドル超となり、同四半期に限っては、ニット製品を逆転したものの、その後、直近の2022年第1四半期までの推移をみても、ニット製品の落ち込みを補うには至っていない。靴は、元々、エチオピアからの輸入が少ない。

エチオピアは、米国からアフリカ成長機会法(AGOA)の資格を停止されている(2021年11月4日記事参照)。米国向けの輸出減少の危機感から、当地の政府関係者からは、しばしば繊維・縫製品の輸出先多角化の必要性を説く声も聞こえる。EUは、後発開発途上国を対象に武器以外のすべての製品の輸入関税を無税とし、輸入割り当てもしない「武器以外の全て(EBA)」と呼ばれる輸入関税免除措置を採っている。エチオピアは同措置の対象国だ。

(注)繊維・縫製品は、ここではHSコード61類(ニット製品)、同62類(織物製品)、同64類(靴)の合計。

(関隆夫)

(エチオピア、EU)

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