5月の乗用車販売、前年同月比約2.9倍の急増

(インド)

ベンガルール発

2022年06月20日

インド自動車工業会(SIAM)は6月10日、自動車統計(出荷ベース)を発表した。2022年5月単月の乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕の国内販売台数は、前年同月比約2.9倍の25万1,052台となった(添付資料表1参照)。自動車全体(乗用車、二輪車、三輪車)の販売台数合計は、約3.5倍の153万2,809台だった。

乗用車の販売台数については、新型コロナウイルスのデルタ変異株が流行した第2波により、販売が大きく落ち込んだ2021年5月と比べると急増し、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年5月(23万9,347台)を上回った。しかし、SIAMのラジェシュ・メノン事務局長は、プレスリリースで「乗用車の販売台数は2018年5月の水準を下回っている」と述べ、十分な需要回復には至っていない認識を示した。また、インド準備銀行(RBI、中央銀行)が2022年6月8日に2カ月連続で政策金利を引き上げた(2022年6月17日記事参照)ことや、政府の6月1日以降の自動車損害賠償責任保険(自賠責)の料率引き上げ措置が、消費者心理に与える影響に懸念を表した。

5月単月の部門別乗用車販売をみると、一般乗用車は前年同月比約3.0倍の12万4,060台、UVは約2.6倍の11万6,256台、バンは約7.9倍の1万736台だった。

メーカー別乗用車販売をみると(添付資料表2参照)、首位のマルチ・スズキは約3.8倍の12万4,474台を、韓国・現代は約1.7倍の4万2,293台を販売した。その他の日系メーカーでは、トヨタ・キルロスカが約14.4倍の1万151台、ホンダは約4.0倍の8,188台、日産は約1.7倍の2,131台を販売した。なお、地場タタ・モーターズは、SIAMの統計には含まれていないが、同社発表によると約2.9倍の4万3,341台を販売し、2位につけたもようだ。

車種・タイプ別の販売台数上位は、一般乗用車では、スズキのコンパクトモデル(「スイフト」「ワゴンR」など計6万7,947台)、現代のコンパクトモデル(「オーラ」など計1万9,520台)だった。また、UVでは、マヒンドラ&マヒンドラのコンパクトUV(「ボレロ」など計1万6,998台)、スズキの中型UV(「エルティガ」など計1万3,654台)が売れ筋となった。

5月単月の二輪車販売は125万3,187台で、前年同月比約3.5倍となった(添付資料1、3参照)。主要部門のオートバイは約2.8倍の81万9,940台を販売。スクーター、モペッドなどの小型の二輪車はそれぞれ約7.6倍(39万8,099台)、約4.9倍(3万5,148台)の販売実績を残した。

写真 ベンガルール市内の住宅街の様子。スクーターは市民の足となっている(ジェトロ撮影)

ベンガルール市内の住宅街の様子。スクーターは市民の足となっている(ジェトロ撮影)

(倉谷咲輝)

(インド)

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