ドイツ機械工業連盟、2022年の生産高予測をさらに引き下げ

(ドイツ、ロシア、ウクライナ)

ミュンヘン発

2022年06月08日

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は5月30日、ハノーバーメッセ(会期:2022年5月30日~6月2日)の開幕に合わせて、2022年のドイツ国内の機械・設備生産高の実質伸び率の予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年3月に発表した予測値4%(2022年3月15日記事参照)を引き下げ、1%とした。なお、この予測は、ロシアからのエネルギー供給の突然の停止がないことを前提にしたものだ。ドイツ国内の機械・設備生産高の実質伸び率は、2020年に前年比マイナス11.8%と大きく落ち込んだ後、2021年は6.4%となっていた。

VDMAは予測値を引き下げた理由として、(1)ロシアのウクライナ侵攻、(2)部品などの供給不足、を挙げた。サプライチェーンの問題は、中国での新型コロナウイルス感染拡大を受けた都市封鎖管理措置の影響で、さらに深刻化しているという。VDMAは、予測を引き下げた一方、主要市場で多くのビジネスチャンスがあるともしている。具体的には、世界中で実施される(1)景気対策・インフラプログラム、(2)気候変動対策、(3)サプライチェーン新構築のための投資により、機械・設備への需要も高まるとの予測だ。

ウクライナ侵攻はドイツ企業のロシアビジネスに大きな影響

VDMAは今回の予測発表に合わせ、2022年5月に実施した、ロシアビジネスに携わる会員企業294社から回答を得た、ロシアビジネスに関するアンケート結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

同アンケートでは、「ウクライナ侵攻によりロシアビジネスが制限されているか」の問いに対して、46%が「完全に制限されている」と回答した。「かなり制限されている」(40%)、「一部制限されている」(9%)を合わせると、回答企業の9割以上が、ロシアビジネスが制限されている状況が明らかになった。また、向こう6カ月のロシアビジネスの見通しについては、「ビジネスを完全に止める」が39%、「悪化」が35%、「現状では見通せない」が20%となった。

今回のアンケート結果について、カール・ホイスゲンVDMA会長は、(1)ドイツの機械関連企業にとって、ロシアは伝統的には輸出市場であるため、ロシア現地での生産・組立の投資は市場規模に比べて多くない、(2)ただし、一部企業にとってロシア市場を失うことが大きな損失となる可能性がある、とコメントした。併せて、「仮にウクライナ侵攻が早期に終結し同国が領土の主権を回復しても、ロシアと再び信頼に基づいたビジネスを行うまでには多くの年月を要するだろう」と述べた。

(高塚一)

(ドイツ、ロシア、ウクライナ)

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