第1四半期のGDP成長率は前期比0.5%、回復基調は継続

(スイス)

ジュネーブ発

2022年06月07日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は5月31日、2022年第1四半期(1〜3月)の実質GDP成長率を前期比0.5%(季節調整済み)と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表1参照)。産業部門に牽引され、回復基調は予想どおり継続した一方、サービス部門の一部は同四半期初めの新型コロナウイルス対策によって抑制された。

需要項目別に成長率をみると、個人消費支出は正常化の動きがみられ、前期比0.4%となった。政府消費支出は新型コロナ対策支出により1.4%と顕著な伸びを見せた。建設投資は中間資材の不足などにより減少、設備投資は研究開発の変動を受けて好調だった前期からマイナス3.1%と落ち込んだ。財貨の輸出は、製造業の堅調な伸びを反映して1.4%と過去平均を上回り、精密機械、時計・宝飾品、機械、金属などの輸出が増加。財貨の輸入は化学・医薬品分野に牽引され、6.1%と急伸した。

産業別では、製造業は前期比1.7%と力強く伸びた(添付資料表2参照)。化学・医薬品分野の伸びは一服したものの、他の分野は主要な貿易相手国からの需要増に牽引されて堅調な伸びを見せた。産業部門の好調は卸売業などのサービス部門にも波及し、卸売・小売業全体でマイナス0.1%にとどめた。運輸・通信業は、貨物輸送の増加を反映し、新型コロナの最新の感染の波によりスイス国内の移動が制限された中で、0.2%と微増。新型コロナの公衆衛生対策によって、直接的影響を受けるサービス部門は抑制されたものの、2月の対策緩和により大きな落ち込みには至らず、経済への影響は限定的なものとなった。唯一、宿泊・飲食サービス業がマイナス2.2%と明確な減少を示した。2022年初頭には外国人宿泊客の戻りは一服し、テレワークの推奨・義務化により外食需要が減少、これに伴って食品小売り分野の売上高は増加。非食品分野の支出は減少したものの、高い水準を維持し、国外旅行は増加した。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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