在中EU企業、77%が研究開発支出を増加すると回答、知財面の課題も指摘

(中国)

中国北アジア課

2022年06月17日

中国に進出したEU企業で構成する中国EU商会は6月8日、ドイツシンクタンクのメルカトル中国研究所(MERICS)と共同で、中国のイノベーションエコシステムに関する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをまとめた。主に2021年12月から2022年2月にかけて、同商会会員(研究開発WGなど)に実施したアンケート調査(32社回答)とインタビュー(11社対応)に基づくものだ(注)。

同商会は、中国での研究開発活動はEU企業に多くのプラスの効果をもたらす点や、中国のイノベーションエコシステムがますます活力を増しており、EU企業が世界の他地域に比べ、中国は多くのアドバンテージを有していると認識している点を指摘した。そのうえで、中国で研究開発・イノベーション活動を行う背景に関する在中EU企業の回答として(複数回答可、n=22)、「市場規模」「研究開発成果の商業化の速さ」「現地での自社のイノベーティブな製品への強い需要」が、68%の同率で最多の回答となったことを紹介した。

こうした背景の中で、アンケートに回答した在中EU企業の73%が、2020年から2021年にかけて中国事業における研究開発支出を増加させ、77%が2021年から2022年にかけて同支出をさらに増加させるとしている(n=22)。

一方、「中国で研究開発・イノベーション活動に従事するうえで、マイナスの影響をもたらす要素」については(複数回答可、n=22)、「不十分な知的財産権(IPR)保護システム」との回答が32%で最多となったほか、「外国企業にとって公平ではない競争の場」が27%、「自国市場における中国における研究開発に対するネガティブなセンチメント」「政府による支援が限定的あるいは支援が欠如」「激しい競争」がそれぞれ23%だった。

なお、「地場企業と同様に中国の研究開発・イノベーション活動における補助金や政府優遇措置にアクセスできるか」との問いについては(n=21)、「地場企業が大いに有利」が48%で最多となった。以下、「地場企業が幾分か有利」(24%)、「全くアクセスできない」「地場企業と同様にアクセスが可能」「その他」(いずれも9%)となった。

これら調査結果を踏まえ、同商会は中国での研究開発の実施においては多くのポジティブな要素があるとする一方で、一部の分野には、EU企業が注意を払うべき課題が存在している点も指摘した。

(注)同商会は、本件調査の実施時期は、中国で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が拡大した2022年3月以前に実施されており、感染拡大による在中EU企業の中国におけるイノベーション戦略への影響は本調査に盛り込めていないとしている。なお、同商会は、オミクロン株の感染拡大に伴う都市封鎖などにより、在中EU企業のマインドの大幅な冷え込みを指摘している(2022年5月11日記事参照)。

(宗金建志)

(中国)

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