炭化水素の増産を条件に外貨を割り当てる新制度を導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年06月09日

アルゼンチンで5月28日、政令277/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公布され、炭化水素の生産者を対象とした新たな外貨優遇制度が導入された。発効は官報公示から30日後。それまでに施行規則が公布される。

政令によれば、石油と天然ガスの生産量を増加させた生産者に、外国為替市場を通じて商業債務、金融債務の元本、金利の支払い、利益・配当金、投資資金の本国への送金(リパトリエーション)を目的とした、外貨の取得を認める。アルゼンチンは、石油や天然ガスの産出国だが、天然ガスについては純輸入国となっている。新制度を通じて、炭化水素の自給率を高めて輸入を減らし、外貨不足の解消を目指す。

新制度は、石油増産のための外貨優遇制度(RADPIP)と、天然ガス増産のための外貨優遇制度(RADPIGN)の2つだ。2021年の生産量と過去12カ月の生産量と比べて増産分を算出し、石油については増産分の20%、天然ガスについては30%にブレント原油(注)の価格(過去12カ月の平均値)を乗じて外貨枠を算出する。

政府は2022年2月、エネルギー庁決議67/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、巨大なシェールガス鉱区があるネウケン州と一大消費地のブエノスアイレス州を結ぶ全長約550キロのネストル・キルチネル・ガスパイプラインなど複数のガスパイプラインの建設を進めることを決めた。2024年冬の完成を目指す。これにより、ミッドストリームのボトルネックを解消するとともに、資本取引規制を緩和することで、アップストリームのボトルネックである炭化水素の増産に必要な設備、投資の不足の解消を目指す。

(注)北海ブレント原油とも呼ばれる。重要な価格指標の1つ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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