チェコ、パイプライン経由を除くロシアからの原油輸入禁止措置を歓迎

(チェコ、ロシア、EU)

プラハ発

2022年06月07日

チェコのペトル・フィアラ首相は5月31日、パイプライン経由を除くロシアからの原油輸入の禁止に関する欧州理事会(EU首脳会議)での合意(2022年6月1日記事参照)について、EUがロシアへの反対姿勢とウクライナへの支持を貫くものと評価するコメントを発表した。同時に同首相は、チェコは18カ月の猶予期間を得る見通しであることを表明した。チェコがロシアからの輸入停止に対して直ちにその代替を確保できないことから、「国民に十分な燃料を供給するため」としている(5月31日付チェコ政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

チェコ政府は一貫してEUのロシア産化石燃料の依存脱却に積極的な姿勢を示している。一方で、ロシア国産ガスと原油への依存度が高いことから、フィアラ首相は、十分な燃料を確保することが上述の輸入禁止を支持する条件だとしていた(5月4日付閣議後の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

チェコは原油について、ロシアを起点としてベラルーシ・ウクライナ・スロバキアを経由するパイプライン「ドルージュバ」と、イタリアを起点とするパイプライン「TAL」にドイツで接続しているパイプライン「IKL」を介して輸入している。2021年にチェコに輸送された原油はドルージュバからが48.8%、IKLからは51.2%であった(添付資料図参照)。2021年にチェコはロシア、カザフスタン、アゼルバイジャン、米国など7カ国から原油を輸入したが、ロシアからの輸入量は全体の50.0%を占めている(添付資料表参照)。

ヨゼフ・スィーケラ産業貿易相は、EU首脳会議に先立つ5月4日の記者会見で、チェコが原油供給ルートを確保するためには、TALの容量引き上げが最も適当と述べた。産業貿易相によると、ドルージュバパイプラインからの供給分を完全に網羅するためには、TALの容量を現在の年間3.800万トンから4,800万トンに引き上げる必要があり、チェコ政府はそのインフラ整備に約2年かかると見積もっている。「このプロジェクトに関して、チェコは現在、ドイツ、オーストリア、イタリアと、また資金に関して欧州委員会と交渉を行っている」と同氏は説明している。

なお、調査機関STEMが4月19日に発表した世論調査結果によると、「ウクライナ侵攻に関連したロシア向けの経済制裁は、チェコの物価上昇をもたらすが、これに対してどう思うか」との問いに対して、「制裁は重要だが、チェコ国民への影響を考慮する必要がある」との回答が60%を占めた。これに「いかなる影響があろうと、制裁を適用すべき」(21%)、「制裁は軽度なものとするべき、あるいはいかなる制裁も適用すべきではない」(10%)との回答が続いた。

(中川圭子)

(チェコ、ロシア、EU)

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