新たな国民健康保険機関法が発効、財源徴収に対して通信事業者は反発

(ナイジェリア)

ラゴス発

2022年06月01日

ナイジェリアのムハンマド・ブハリ大統領は5月19日、国民健康保険機関法案に署名し、同法は即日発効した。これにより、従来の国民健康保険制度法(NHIS)は廃止された。NHISは国民健康保険制度として2004年に運用が開始されたが、加入者数は全人口の5パーセントを下回っていた。

大統領上級特別補佐官ガルバ・シェフ氏は、新しい国民健康保険機関は州政府と連携し、1次・2次医療機関の認定、ならびに全国民の保険制度への加入を進めるとした。それの上で、8,300万人に上る医療機関を受診する余裕のない貧困層に対して保険を適用するため、「社会的弱者基金(Vulnerable Group Fund)」を創設すると発表した。

もっとも、同法では、基金の財源として通信事業者から通話1秒に対して最低1コボ(約0.002円、1コボ=約0.002円)を徴収すると規定されており、業界の反発を招いている。全国通信事業者協会のアデオル・オグンバンジョ会長は、「(NHIS下での)腐敗したシステムを棚に上げて、通信事業者をドル箱とみなし、財源を確保しようとするのは極めて残念なこと」として、政府を批判した。ナイジェリア通信委員会によると、2020年における国内の通話回数は1,508億回、通話累計時間は9兆500億秒に到達する。ここから1秒当たり1コボの税金を徴収すると、日本円にして年間約190億円が徴税される計算となる(注)。

(注)公式レートではなく、実際の通貨価値を反映した実勢レートで計算している。ナイジェリアの為替レートについては、2021年5月27日記事参照。

(谷波拓真)

(ナイジェリア)

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