中国再エネ大手傘下のバッテリー企業、スペインにギガファクトリー建設へ

(スペイン、中国)

マドリード発

2022年06月09日

中国の再生可能エネルギー開発大手「遠景科技集団(エンビジョングループ)」傘下のバッテリー企業エンビジョンAESCは6月3日、スペイン西部エストレマドゥーラ州に車載用リチウム電池工場を建設すると発表した。2025年に生産能力10ギガワット時(GWh)の第1期工事の完成と稼働開始を予定しており、その後、需要に応じて最大30GWhまで生産能力を拡大する。消費エネルギーは全て併設予定の再エネ発電プラントから供給し、3,000人のグリーン関連雇用の創出が見込まれる。

同社は既に日本や米国、英国、中国、フランスに車載電池工場があるほか、米国、フランス、日本、英国でギガファクトリーの新規建設を計画しており、2030年までに総生産能力300GWhを目標としている。

アクシオナと復興基金プロジェクト主導

今回発表した新バッテリー工場の建設は、エンビジョンAESCとスペインの再エネ大手アクシオナを中心に、自動車部品メーカーのテクニア、電動トラックメーカーなど計12社が実施を目指す総額10億ユーロの電動モビリティー推進プロジェクト「Venergy+」の中核をなす。エンビジョンAESCの出資額は9億ユーロでその大部分を占める。同プロジェクトでは、電動バンやトラック、宅配用の電動商用車、電動バイク向けのバッテリーの開発・製造を行う。

エンビジョンAECSによると、同プロジェクトは、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)なども申請しているEU復興基金によるスペイン政府の支援策「EV・コネクテッドカー分野の戦略的復興・変革プロジェクト(PERTE-VEC)」の利用申請を行ったという(2022年3月28日記事参照)。

(伊藤裕規子)

(スペイン、中国)

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