VW、北ドイツ・エムデン工場でBEVの生産開始

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年06月02日

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は5月20日、ドイツ北部エムデン工場で、スポーツ用多目的車(SUV)のバッテリー式電気自動車「ID.4」の生産を開始したと発表し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますた。

VWの2021年のバッテリー式電気自動車(BEV)販売台数は前年比97%増の26万3,000台。うち、「ID.4」は11万9,650台で、VWで最も売れたBEVモデルとなった。今回エムデン工場で生産が始まった「ID.4」は既に、東部ドイツのツビッカウ工場、中国の安亭工場および仏山工場で生産されている。2022年秋には米国・チャタヌーガ工場でも生産が始まる予定だ。エムデン工場での「ID.4」の生産は、2022年末に1日当たり最大800台を見込む。VWは2022年中に、欧州、米国、中国合わせ、MEB(注)を基にしたBEVを年間120万台生産できる体制を整える予定。

エムデンはハンブルクの西方約250キロに位置し、北海に面したドイツの港町。VWのエムデン工場は1964年生産開始で従業員は約8,000人、主な生産車種はパサートで2020年の生産台数は16万3,443台。VWは2020年から、約10億ユーロをかけてエムデン工場のBEV工場化を進めており、今回の「ID.4」生産開始もその一環だ。2023年にはBEV「エアロB(AERO B)」の生産も始まる予定。パサートの一部車種は生産を数年続けるものの、その後、エムデン工場はBEV専用工場となる。

VWは2021年12月に発表した2022~2026年の5年間の投資計画「プランニング ラウンド70」で、電動化に520億ユーロと投資すると決定、販売台数に占めるBEVの比率を2026年に25%にまで高める目標を掲げるなど(2021年12月16日記事参照)、BEVシフトを鮮明にしている。

(注)Modularer E-Antriebs-Baukasten(Modular electric drive kit)の略。VWが開発したBEV専用のモジュラープラットフォーム(共通設計・部品共通化のための基盤)。

(高塚一)

(ドイツ)

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