IEA報告書、EV普及はアジア大洋州で遅れ

(インド、オーストラリア、タイ、インドネシア)

アジア大洋州課

2022年06月02日

国際エネルギー機関(IEA)は5月23日、世界の電気自動車(EV)の販売台数は、2021年に続き、2022年も政策支援や新規モデル投入から好調を持続するも、原材料となるリチウムやコバルトなど鉱物資源の生産増加が必要とするプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。IEAが同日発表した「世界電気自動車展望2022(Global Electric Vehicle Outlook 2022)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2021年に世界で販売されたEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の合計が前年比2.2倍の660万台となったとするものの、中国や欧州、米国での販売が大半を占めるとし、アジア大洋州地域を含めた新興・途上国での販売は、モデル数の少なさや、価格の高さから、遅れていると分析している。

アジア大洋州地域の調査対象国の1つインドでは、他の脱炭素政策と比較して、EV普及は遅れているとする。2021年のEVシェアは0.4%にとどまる。他方、政府は2015年にEV生産早期普及策FAMEを導入し、EV購入者に対する補助金給付などを通じた需要喚起のほか、充電ステーション数の拡充や公共バスの電動化支援策を展開する(2022年3月25日付地域・分析レポート参照)。これらの政策はEV市場の有望性を高めている。

オーストラリアは、EV普及が進んでいないものの、EV生産に必要な重要鉱物の生産国で、リチウムは世界で最大の生産国、ニッケル生産国としても世界トップクラスとする。

ASEANのタイとインドネシアは、同地域のEV市場の主導国となることを目指し、EV生産やバッテリー生産に戦略的に力を入れているとする。タイ政府は2021年に、2030年までに国内生産車の30%をゼロエミッション車(ZEV)に、2035年までに新車登録台数の100%をZEVにするという目標を発表した。インドネシアは2021年に政府系バッテリー公社を設立し、2030年までに140ギガワット時(GWh)に及ぶ生産能力を実現し、そのうち50GWhを輸出する計画だ。

(新田浩之)

(インド、オーストラリア、タイ、インドネシア)

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