第1四半期の貿易収支、6億900万ドルの赤字

(チリ)

サンティアゴ発

2022年06月02日

チリ中央銀行が5月23日に発表した資料によると、2022年第1四半期(1~3月)の貿易(通関ベース)は、輸出(FOB)が前年同期比13.9%増の252億2,400万ドル、輸入(CIF)が32.9%増の258億3,300万ドルだった。貿易収支は6億900万ドルの赤字となり、2021年第3四半期(7~9月)から3期連続で赤字が続いている。

輸出を品目別にみると、構成比55.4%を占める鉱産物は前年同期比6.5%増の139億7,200万ドルとなった(添付資料表1参照)。銅輸出全体の42.2%を占める銅カソードは11.8%増だったが、50.4%を占める銅鉱石、銅精鉱は主要鉱山での品質低下が響き、6.6%減となった。銅の主な輸出先は中国(構成比:52.7%)、日本(10.9%)、韓国(9.8%)で、この上位3カ国がアジア向けの全てで、銅輸出全体の73.4%を占めた。

農林水産物は前年同期比14.9%増の31億5,200万ドルだった。果物輸出全体の半数を占めるサクランボは24.2%増となったが、ブドウやブルーベリーはそれぞれ0.4%減、3.2%減だった。果物の主な輸出先は中国(構成比:52.5%)、米国(23.0%)、オランダ(6.8%)の順で、3カ国とも前年同期比で増加した。

工業品は前年同期比28.8%増の80億9,900万ドルとなった。サーモンは31.1%増の15億8,300万ドルで、主な輸出先は米国(構成比:42.8%)、日本(19.3%)、ブラジル(13.0%)だった。ボトルワインは4.8%減で、主な輸出先の英国(構成比:11.1%)と日本(8.9%)向けは増加したが、中国(16.7%)向けは、ロシアのウクライナ侵攻や中国の新型コロナウイルス対策「ゼロコロナ政策」による物流の混乱が響き、2桁減となった。

輸入を品目別にみると、中間財は前年同期比40.0%増の133億7,200万ドルだった(添付資料表2参照)。エネルギー製品である石油の輸入は22.0%増、ディーゼルは2.2倍に増加した。その他の中間財は、化学製品が62.1%増、金属製品が54.6%増で、全体では31.0%増となった。

消費財は前年同期比33.7%増の77億6,400万ドルだった。耐久消費財は、自動車とコンピュータがそれぞれ26.6%増、27.5%増。半耐久消費財では、衣類の輸入が88.3%増、履物が63.0%増となったため、全体では71.0%増を記録した。

資本財は、産業活動の活性化により、その他の機械が前年同期比27.3%増、トラック、貨物車が31.0%増となり、全体では15.3%増の46億9,700万ドルだった。

輸出を主要国別にみると、中国(構成比:39.2%)、米国(14.0%)、日本(8.4%)の順で、米国と日本向けは大西洋サーモンや太平洋サーモン、中国向けはサクランボの輸出が特に増加した(添付資料表3参照)。

輸入の主要国別では、中国(構成比:31.5%)、米国(16.8%)、ブラジル(9.0%)の順で、中国からは携帯電話や自動車などの耐久消費財の輸入が増加した。米国とブラジルからはエネルギー関連製品の輸入が増加し、ほかにもブラジルからの自動車輸入も増加した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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