ウルグアイ、2040年までのグリーン水素開発ロードマップを発表

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2022年06月28日

ウルグアイ政府は6月14日、「ウルグアイにおけるグリーン水素開発ロードマップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。2040年までに、グリーン水素の製造を通じて国内のエネルギー転換を進めるとともに、グリーン水素を輸出産業として確立することを目指す。

2015年に採択されたパリ協定に基づき、120を超える国や地域が2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げている中、ウルグアイ政府のロードマップでは、グリーン水素こそが世界共通の野心的な目標に貢献できる、としている。ウルグアイがグリーン水素開発に取り組む理由は、そのための条件が同国にそろっているからだ。

同国の2017年から2020年までの電源別発電量は、平均で97%が再生可能エネルギー。最も割合が大きいのが水力で、発電量全体の44%を占める。これに風力の32%、バイオマス熱利用の18%、太陽光の3%、化石燃料の3%と続く。ウルグアイは、風力、太陽光発電の適地で、導入余地が多く残されている。

ロードマップによると、2030年時点の同国における太陽光、風力発電の均等化発電原価(注)は16~19米ドル/メガワット時(MWh)、洋上風力発電は26~28米ドル/MWhだが、2040年には技術改善などによりさらに安価になる。その安価な再エネを利用してグリーン水素を製造し、大西洋岸のモンテビデオ港を拠点に米欧に輸出することができることが同国の強みだ。

ロードマップは、2022年から2024年までの第1フェーズ、2025年から2029年までの第2フェーズ、2030年以降の第3フェーズに分けて、グリーン水素開発を進める。第1フェーズでは、同国初のグリーン水素の輸出のための基盤づくりを行うとともに、実証事業などを通じて水素を利用した運輸部門など国内の脱炭素を進める。第2フェーズでは、国内市場の規模拡大と初の輸出を目指す。そのためのインフラ整備、投資誘致のための新たなインセンティブの導入を進める。そして第3フェーズでは、国内市場をさらに拡大させることで水素のバリューチェーンを確立し、グリーン水素だけでなくグリーンアンモニアなど派生商品の生産と輸出に向けた体制の確立を目指す。2040年までに20ギガワット(GW)の再エネ発電設備、10GWの水素電解プラントを導入する。国内と輸出を合わせた、同国の水素・派生商品の市場規模は21億ドルに達するとしている。

工業エネルギー鉱業省は、2022年8月15日までロードマップに関するパブリックコメントを募集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(注)発電にかかるコストを示す指標。発電所建設の初期費用から運転費用までを含む。

(西澤裕介)

(ウルグアイ)

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